研究課題
免疫寛容・寛容破綻の機序解明:① 野生型マウスから全身麻酔下に胸腺を摘出し、代わりにKOマウスの胸腺を腎被膜下に移植した。放射線照射にて骨髄を破壊し、野生型マウスの骨髄細胞を移植した。4か月から6か月後にマウス末梢にリンパ球が出現したことから、移植した胸腺が機能したことが確認された。胸腺におけるTSHR発現が中枢性寛容に重要であるという我々の仮説が正しければ、野生型マウスのTSHR特異的T細胞が除去されず、マウスTSH受容体免疫により野生型マウスに抗体産生/バセドウ病発症が見られると予想したが、抗体産生・バセドウ病の発症は認められなかった。しかしヒトTSH受容体での免疫(ポジティブコントロール)でも抗体産生が認められず、末梢にリンパ球が出現したにも関わらず、免疫反応が誘導できないという原因不明の問題に直面した。② KOマウスから全身麻酔下に胸腺を摘出し、野生型マウスの胸腺を腎被膜下に移植した。放射線照射にて骨髄を破壊し、KOマウスの骨髄細胞を移植した。胸腺におけるTSHR発現が中枢性寛容に重要であるという我々の仮説が正しければ、KOマウスが持つTSHR特異的T細胞が正常胸腺によって除去されるので、免疫してもKOマウスに抗体産生/バセドウ病発症が認められないと予想したが、結果は予想通りであったが、①での問題点から意義ある結論を誘導することはできなかった。
3: やや遅れている
前年度の問題であった胸腺移植後に末梢にリンパ球が出現するまでの期間が非常に長いという点は、4~6か月待つということで解決した。が、今年度は、末梢にリンパ球が出現したにも拘わらず、ポジティブコントロールのヒトTSH受容体による免疫でも抗体産生が認められないという新たな問題が発生した。現在野生型マウス、TSH受容体KOマウス間で異なる部位への胸腺移植を試み、最適の移植場所を探す基礎研究を施行中である。
免疫寛容・寛容破綻の機序解明に関しては、上記の野生型マウス、TSH受容体KOマウス間で異なる部位への胸腺移植を試み、最適の移植場所を探す基礎研究の結果を待って、再度胸腺移植実験の取りかかる予定である。養子移入モデルにおける免疫反応の変化を外部からのコントロールの試みに関しては、24年度に得られた結果に従い、変化の見られた免疫学的指標を参考に、人為的に抗TSHR免疫反応をコントロールし、TSAb→TBAbの変化を阻止する、或いは促進することを試みる予定である。
研究実績で述べたように、胸腺移植実験後の末梢リンパ球出現まで予想を超えて4~6か月を要したことと、移植後の免疫反応誘導にに問題が生じたため、実験の進捗が遅れ、助成金の一部を翌年度に回すこととなった。胸腺移植実験のためのマウス購入、手術用試薬・消耗品購入に充てることを計画している。
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