研究課題
本研究は、EphA4 KOマウスの体格が小さいのは何故かという疑問から発したものである。生直後の体格は正常マウスと変わらないため、生後の成長に関係するシグナルへの影響が最も考えられた。これまでに知られている生後の体格決定に大きな作用を持つシグナル伝達系はGH-IGF1 axisである。EphA4は細胞膜に存在する受容体であるため、GHRおよびIGF1Rとの相互作用を調べた。EphA4はGHRと直接結合してGHR下流のシグナルを増強することを発見した。また、これまでGHRの下流と考えられてきたJAK2-STAT5Bを介するシグナルは、EphA4の下流でもあることが判明してきた。本研究はGH-IGF1 axisのこれまでの定説に修正を加えたものである。当初の計画のとおり、EphA4 KOマウスのGH-IGF1 axisに関する種々の指標を正常マウスと比べた。また、マウス胚から線維芽細胞(MEF)を樹立し、JAK2-STAT5Bを介するシグナルについて詳細に調べた。EphA4 KOマウスでは、GH-IGF1 axisに属するシグナルが脳を除くほとんど全ての臓器で低下しており、血中IGF1値が正常の1/3程度に低下していた。MEFにおける実験でも、EphA4 KOマウス由来のMEFにおいて、GHRおよびEphA4の活性化からIGF1産生につながるJAK2およびSTAT5Bのリン酸化シグナルがGHおよびephrinの刺激下で低下していた。以上から、液性因子であるGHと細胞間の接着により伝達されるephrin/Ephシグナルがお互いにクロストークをすることにより生後の体格を決定していくことが明らかとなった。
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PLoS ONE
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