研究課題/領域番号 |
24591371
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研究機関 | 和歌山県立医科大学 |
研究代表者 |
尾崎 敬 和歌山県立医科大学, 医学部, 非常勤講師 (40351390)
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研究分担者 |
村垣 泰光 和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (40190904)
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キーワード | 甲状腺 / 再生 / 癌 / 幹細胞 / 脱分化 |
研究概要 |
①マウス甲状腺切除術を施行後,残存甲状腺を1週間~2週間後に取り出しHematoxylin-eosin染色(HE染色)で検索した結果、特定の領域で甲状腺組織再生を確認した。さらに甲状腺組織再生部で、幼若な淡明細胞が多数出現することが判明した。②再生部位における免疫組織化学的検討により、組織幹細胞に関連するCK14陽性細胞・Foxa2陽性細胞が再生中心部に存在することを確認した。③電子顕微鏡的観察により、甲状腺再生には幼若な細胞の出現と細胞死により甲状腺濾胞が形成されることも確認した。④甲状腺切除後、2日、7日、14日で血中TSH(甲状腺刺激ホルモン)・T4(甲状腺ホルモン)を測定した結果、甲状腺再生時期にTSH値が上昇し、T4値が回復することが判明し、甲状腺再生にTSHが関係していることが示唆された。⑤甲状腺再生部の凍結標本を作成後、mRNAを回収・増幅後、cRNAmicroarrayを行った結果、癌・細胞死・胎生期甲状腺発生に関連する遺伝子発現を認めた。 以上の①-⑤の結果から甲状腺再生には、甲状腺前駆細胞あるいは幼若細胞が出現し、癌関連遺伝子・細胞死関連遺伝子・胎生期甲状腺発生関連遺伝子が系統的に発現することで組織再生がなされることが示唆され、組織再生に関連して成熟甲状腺組織内に幹細胞が存在する、あるいは分化した甲状腺細胞が前駆細胞・幼若細胞に脱分化する可能性が示唆される。 ⑥以上⑤の甲状腺再生に特に癌遺伝子が関連していることに着目し、甲状腺癌に熱処理・物理学的処理を行うことで、甲状腺癌初期細胞(推定)を取り出し(学会発表)、現在発現遺伝子を検討中である。さらに胎児期甲状腺発生の関連遺伝子との関係の有無を検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成25年度計画であった①甲状腺再生部位の培養条件検討が思うように進まなかった。②甲状腺切除後、再生部位における幹細胞・脱分化細胞を明らかにできなかった。③甲状腺幹細胞をクローニングできなかった。④マウスにクローニングされた甲状腺幹細胞を移植する実験にまで到達できなかった。ただし、⑤甲状腺組織再生で発現する甲状腺癌関連遺伝子を検討するのに、一定の条件下で甲状腺癌初期細胞(推定)を作り出し、現在、この細胞について発現遺伝子を検討中である。甲状腺再生と甲状腺癌初期細胞との比較検討実験は進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
マウス甲状腺切除後、甲状腺組織再生部位での幹細胞・脱分化細胞のクローニンングが難しく、今後は、甲状腺切除後の組織再生部で確認された癌遺伝子発現に関連する実験と平行して行う。 ①甲状腺組織再生部位における幹細胞・脱分化細胞存在の検討。②甲状腺癌初期細胞(前駆細胞)と推定[現在実験中]している細胞の分化度(幹細胞~前駆細胞~幼若細胞)の検討と発現遺伝子の検討。③甲状腺組織再生の発現遺伝子と甲状腺癌初期細胞発現遺伝子との比較検討。④甲状腺癌初期細胞(前駆細胞)の今後癌治療・再生医療への応用の可能性の検討。以上①~④を研究推進していく。本年度が最終年度であり、可能なかぎりスピードアップを進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
甲状腺切除後、再生部位内における甲状腺幹細胞・脱分化細胞のクローニングとマウス移植実験が進まなかった。①甲状腺幹細胞・脱分化細胞の遺伝子・タンパクレベルの実験が思うように進まなかった。②クローニングされたマウス幹細胞・脱分化細胞のマウス移植実験が進まなかった。③甲状腺再生に癌関連遺伝子がかかわっていることが今回の研究で示され検討中である。以上①②の理由で実験試薬・マウスの予算が残った。ただし、現在実験中の甲状腺癌初期細胞(現在、推定)の分化レベルの発現遺伝子の検討と甲状腺組織再生部位の発現癌関連遺伝子との比較検討で、予算を使用中である。 ①甲状腺組織再生に癌関連遺伝子がかかわっていることが現在までの研究で示され、現在実験中の甲状腺癌初期細胞(現在、推定)の分化レベルの発現遺伝子の検討と甲状腺組織再生部位の発現癌関連遺伝子の比較検討で、次年度予算を使用する計画で進んでいる。
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