研究課題
基盤研究(C)
本研究の目的は、ATL患者の検体を用いてATLのがん幹細胞(ATL-CSCs)を同定することである。我々は申請時にATL Chronic typeの末梢血由来のCD4+ CCR4+ 分画の細胞集団から免疫不全マウスへ移植し9代の連続移植継代を成功させた。一方でCD4+ CCR4+ depletedの分画では2代までの生着のみであった。しかしながらCD4+ CCR4+のFractionから生着した腫瘍のマーカーは連続移植継代で3代目以降にはCD4+ CCR4-となりその細胞集団に生着能が確認された。このことは患者体内では生着能が見られない分画で生着能を獲得することを意味すると同時にCCR4+からCCR4-に変化することも示唆している。このことは現在までに報告されている癌幹細胞とは異なる性質を示していることになり、ATLの1つの特徴であること考えている。我々は昨年CD3HI CD4+においても連続移植継代が可能であることを報告しているがこれにおいても連続移植継代中にCD3HIの細胞集団がCD3Loへと変化しそのまま継代が可能になった。このことはCD3HIの細胞集団がCD3Loへ変化できることを意味しその後、生着能を獲得するのでは無いかと予想した。我々はそのような背景から患者由来のCD3 Lo由来の細胞集団からも生着能をもつ細胞集団が存在するのではないかと着目したところ生着日数は明らかにCD3HIに比べて要するがCD3Loにおいても生着することが確認できた。今後はこの現象のメカニズムを中心に検討を行っていく。
2: おおむね順調に進展している
本研究の目的は免疫不全マウスに連続移植が可能となった細胞集団の解析であるが研究実績の概要で述べたように、申請当時に予想したものと少し異なる結果が現れた。その結果は極めて重要であり、申請当時とは多少戦略が異なっていくが、その状況は結果が得られ次第報告したい。
我々は連続移植継代が可能となった細胞株の大半を凍結保存しており、これらを移植することにより再現性を持った腫瘍が形成されることを確認している。これらにおいて特にCCR4+ CD4+で継代した腫瘍は各世代の細胞集団を保存しており、この細胞集団を用いて連続移植継代中に起こったマーカーの変化を検索していく予定である。具体的には移植脾臓細胞を分離して初代培養法の確立してその培養系あるいはIn vivoの細胞集団を用いて網羅的解析を行っていく予定である。
該当なし。
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Cancer Science
巻: in press ページ: in press
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Retrovirology
巻: 9 ページ: 17pp
doi:10.1186/1742-4690-9-38