研究課題
成人T細胞白血病 (ATL) は極めて予後が不良で化学療法耐性を示す。最近このような化学療法耐性の細胞集団において癌幹細胞の存在が相次いで報告されている。我々は生着能を有する細胞集団を癌幹細胞と定義しそのような細胞集団がATLにおいて存在するか、その有無を検討した。その癌幹細胞は以下の点を満たすものと考えている。生着能を有する細胞集団で全体の腫瘍の一部に存在するもの、その細胞集団は細胞表面マーカーで区別が出来る、さらにその細胞集団を移植すると生着能を有する細胞と有しない細胞を生み出す、そしてこれらの細胞集団は連続移植継代が可能。我々は上の定義を満たす細胞集団としてまず免疫不全マウスへの連続移植継代株の作成を目指した。その結果、ATL患者由来PBMCから分画した細胞集団からNOJマウスにおいて複数の連続移植継代株を樹立した。それらのうちCD4+ CCR4+分画由来の連続移植継代の3代目以降において凍結保存しそこから再現を持って腫瘍再生を確認出来た。またこの連続移植継代株は一定のHTLV-1 Integration siteを保持し継代しても変化せず保持すること、さらにその際のウイルスロードは180から200%前後であることを確認している。またそれらの細胞集団のPhenotypeが継代を介してATL likeなPhenotype、(CD4+、CD25+、CCR4+、CD5+、cytoplasmic CD3+) を獲得することを確認した。さらにそこの連続移植継代株の免疫不全マウスへの移植後の生着先は肺、脾臓、肝臓、骨髄を中心にほぼ全身に確認された。つぎにATLの特徴である複雑な染色体転座の有無を検討したところ11番染色体と14番染色体に複雑な転座を有していた。以上よりこの連続移植継代株にはATL Likeな細胞集団を再生できる細胞集団が存在すると判断した。そこでこの連続移植継代株において生着能に差のある細胞集団の存在の有無を網羅的染色を用いて検討しており、複数の候補が存在していることを確認できた。
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