研究課題/領域番号 |
24591385
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研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
高橋 益廣 新潟大学, 医歯学系, 教授 (90179531)
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研究分担者 |
鳥羽 健 新潟大学, 医歯学総合病院, 講師 (60313540) [辞退]
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | sgRNA / tRNaseZL / 腫瘍抗原タンパ / アポトーシス誘導 / 細胞増殖抑制 / 核酸医薬 |
研究実績の概要 |
本研究室でデザインしたヘプタマーsgRNAを用いて、腫瘍細胞の増殖に必須なタンパクと考えられる白血病抗原等の腫瘍抗原のmRNAを阻害する方法が白血病等の腫瘍に対する治療法として応用可能である かどうかについて明らかにする目的で検討を行った。今回の検討で、sgRNAによるmRNA切断法を効果的に応用できる腫瘍抗原等の種類として、WT1, PRAME, hTERT, BCL2等を選択することができた。すなわち、WT1, PRAME, hTERT等のmRNAと結合して、tRNA前駆体様構造を示す様にデザインしたsgRNAを腫細胞に加えることにより、腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLを用いて、腫瘍抗原mRNAを効果的に切断できることを明らかにした。ヘプタマーsgRNAを用いた標的mRNAの切断が可能であることが明らかにされたことにより、腫瘍に対するsgRNAを用いた新しい核酸医薬の開発が可能であることが示された。今回の検討では、主に白血病等の造血器腫瘍細胞を対象として、腫瘍細胞のアポトーシス・分化の抑制、増殖を促進する因子に対し、tRNA前駆体様構造を形成することができるようにデザインしたsgRNA を用いて当該mRNAの発現を抑制することにより、アポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制が可能かどうかの検討を行い、有効なsgRNAを選択した。また、これらのsgRNAを用いた腫瘍細胞のアポトーシス誘導、細胞増殖の抑制が、我々が想定した腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLをもちいたメカニズムにより行われていることを、sgRNA処理した腫瘍細胞の当該mRNAをシークエンスすることにより確認することができ、本研究の有用性を明らかにすることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
白血病等の悪性腫瘍に対するsgRNAを用いた新しい核酸医薬の開発を目的として、主に白血病等の造血器腫瘍細胞を対象として、腫瘍細胞のアポトーシス・分化の抑制、増殖を促進する因子に対し、網羅的にsgRNA をデザインし、当該mRNA発現の抑制、アポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制等の検討を行い、有効なsgRNAを選択することができた。腫瘍細胞のアポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制が可能であったsgRNAは、WT1, PRAME, hTERT等であり、これらのsgRNAは、当該mRNAと結合してtRNA前駆体様構造をとることができ、腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLを用いて、腫瘍抗原mRNAを効果的に切断できることを明らかにした。これらのsgRNAを用いた標的mRNAの切断が可能であることが確認され、白血病等の腫瘍に対するsgRNAを用いた新しい核酸医薬の開発に道を開くものであることが示された。今回は、白血病等の造血器腫瘍細胞を対象として、腫瘍細胞のアポトーシス・分化の抑制、増殖を促進する因子に対し、tRNA前駆体様構造を形成することができるようにデザインしたsgRNA を用いて当該mRNAの発現を抑制することにより、アポトーシスの誘導、細胞増殖の抑制が可能かどうかの検討を行い、有効なsgRNAを選択した。また、これらのsgRNAを用いた腫瘍細胞のアポトーシス誘導、細胞増殖の抑制が、我々が想定した腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLをもちいたメカニズムにより行われていることを、sgRNA処理した腫瘍細胞の当該mRNAをシークエンスすることにより確認するとともに、将来的にがん治療に応用可能であることが想定された。以上の到達度から判断すると、当初の研究目的に対し、おおむね順調に進展していると言えるものと考えられた。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、sgRNAによるmRNA切断法を効果的に応用できる腫瘍抗原等の種類として、WT1, PRAME, hTERT, BCL2等について検討した。その結果、これらのsgRNAは、当該mRNAと結合してtRNA前駆体様構造を示すことにより、腫瘍細胞に内在性のtRNaseZLを活性化して、腫瘍抗原mRNAを効果的に切断することが明らかになった。今後(平成27年度)の研究としては、想定されるいくつかの腫瘍抗原について、種々の腫瘍細胞に有効なsgRNAの探索を行うとともに、複数のsgRNAの組み合わせの有効性を検討する。また、各腫瘍の治療に使用されている抗腫瘍剤とsgRNAの併用療法の効果についても検討する。腫瘍細胞の細胞増殖抑制およびアポトーシス誘導についての検討は以下の方法で行う。各種の白血病細胞株や新鮮白血病細胞に網羅的に腫瘍関連抗原のsgRNAを加えて培養する。RT/RQ-PCRを用いて、sgRNAを添加培養した白血病細胞の当該遺伝子のmRNA発現の阻害を確認するとともに、Western blottingおよびフローサイトメトリーを用いて、培養細胞の当該タンパク発現の阻害を確認する。また、sgRNAを添加培養した白血病細胞について、経時的なMTTアッセイによる細胞増殖の抑制、およびAnexin V/7AAD染色した培養細胞をフローサイトメトリーで解析することにより、sgRNAを介したアポトーシスの誘導について検討する。同時に、sgRNA による標的mRNA切断部位の確認についても継続する。すなわち、標的腫瘍関連遺伝子に対するsgRNAで処理した白血病細胞株より抽出したmRNAを用いたRACE (rapid amplification of cDNA ends)を行い、切断部位の塩基配列を同定することにより、標的mRANが、tRNase Zにより切断されていることを確認する。加えて、今回デザインしたsgRNAの抗腫瘍療法への応用の可能性についても探る。
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次年度使用額が生じた理由 |
昨年度は、本研究補助金以外の研究費の獲得があり、その研究費の一部も本研究課題に使用したため、次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
機器等の整備は済んでおり、消耗品と旅費にのみ使用する。また、繰越金の一部は、研究協力者への謝金として使用する。
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