研究課題
悪性リンパ腫において、網羅的ゲノム・エピゲノム解析を行うために十分量の腫瘍細胞を生検時に採取することができる症例は、全体の1/3に満たない。この現状をうけて申請者は、DLBCLにおける腫瘍DNAの更なる集積を目的として、DLBCL患者の末梢血遊離DNA (PB-cfDNA)が、腫瘍由来ゲノムDNAを効率よく含むかどうかについて、症例数を増やして検討した。腫瘍混入割合がFCM解析で5割を超えると計算される腫瘍生検検体と、生検と同時期に採取されたPB-cfDNAのペア検体(n=2)、および腫瘍の混入割合が比較的低いDLBCL患者の検体(骨髄由来など)をNOG免疫不全マウスに移植し、クローナルな腫瘍として増殖したXenograft mouseモデル腫瘍細胞より得られたゲノムDNAと、元となった患者から得られたPB-cfDNAのペア検体(n=4)を用いて全エクソン解析を施行し、遺伝子変異の有無とその異同について解析した。それぞれの検体よりDLBCLに比較的頻度が高いとされる変異が多数検出され、さらにペア検体における比較では、同一の遺伝子変異が高頻度に確認された。また、DLBCL患者におけるPB-cfDNAの濃度の経時的検討では(n=3)、初回化学療法直後に上昇し、その後数日で低下傾向となることが確認された。また、化学療法のコースごとの検討では、寛解に到達する症例においてはPB-cfDNA濃度が次第に正常人コントロール程度まで低下することが確認され、一方病勢進行によって腫瘍死した症例においては、終末期にかけてPB-cfDNA濃度が上昇することが確認された。これらの結果から、PB-cfDNAは主にDLBCL腫瘍細胞由来であることが示唆され、生検検体から腫瘍DNAを抽出することが困難な症例においても、腫瘍遺伝子の代替のソースとしてPB-cfDNAが有用である可能性が示された。
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