研究課題
骨髄異形成症候群の発症や進展にはDNAメチル化やヒストン修飾などエピゲノムの異常が関与することが知られており、数年前より本邦においてもDNA脱メチル化薬のアザシチジンが使用されている。しかしながら、本薬剤がどのような遺伝子の脱メチル化による発現変化を惹起して薬剤効果を発揮するのか判明していない。本研究では、DNA脱メチル化に伴ってヘモグロビンの産生が増加するK562白血病細胞を実験モデルとし、アザシチジンやアザデオキシシチジンがどの遺伝子を標的としてヘモグロビン産生を促すのか検証した。K562細胞において、薬剤暴露によってプロモーター領域の脱メチル化が促進された658遺伝子のうち、発現が2倍以上に増加したものは86遺伝子で、この細胞ではヘモグロビンの産生が著しく促進されたにも関わらず、mRNAレベルではグロビン遺伝子の発現は増加しないことが分かった。したがってグロビンタンパク質の増加は翻訳促進によるものであると推定され、本研究代表者は翻訳伸長促進因子のeEF1A2を有望な直接標的として単離した。また、その詳細なメカニズムは不明ながら、DNA脱メチル化薬によって他の翻訳因子であるeIF2-alphaの脱リン酸化が促進され、これらDNA脱メチル化を介した翻訳調節機構の変化が赤血球分化を誘導することが明らかとなった。
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