研究課題/領域番号 |
24591399
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
山之内 純 愛媛大学, 医学部附属病院, 講師 (10423451)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 骨髄増殖性腫瘍 |
研究概要 |
まずは、骨髄増殖性腫瘍のうち、本態性血小板血症の原因とされるJAK2 V617F変異の有無について解析した。その結果、24人中14人に同変異を認めた。次いで、JAK2変異陰性であった10人の患者から血小板を分離し、血小板mRNAを抽出した。RT-PCR法でLnk mRNAを増幅し、シークエンス解析を行ったところ、1人にSH2ドメインにheterozygousな遺伝子異常を発見した。この変異はpolymorphismとしては報告されていない新たな変異であった。そこで、今回発見したLnkの遺伝子異常がJAK2 V617F変異と同じように恒常的にJAK/STAT系でリン酸化を起こし、シグナルが伝わっているかを確認すること目的に今回発見した遺伝子異常のLnk変異体と、TPO依存性の細胞増殖を阻害すると報告されているLnk R392E、polymorphismとして報告されているLnk N537Dの3つの変異体を作成した。これらと野生型のLnkをBaF3細胞に遺伝子導入して、JAK/STAT系のシグナルについて検討した。 次に、Lnk変異体とLnk siRNAをマウスES細胞に遺伝子導入し、赤芽球系細胞または巨核球系細胞に分化させ、細胞分化について検討することを計画している。まずは、マウスES細胞をEPO、またはTPO存在下に共培養を続けることで、赤芽球系細胞、または巨核球系細胞を培養12-13日までに得ることができることを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
in vitroでの実験系において今回発見したLnkの遺伝子異常のJAK/STAT系に及ぼす影響についてはBaF細胞では検討できたが、マウスES細胞を使っての実際に赤芽球系細胞、または巨核球系細胞が増加するか否か、血球の分化に及ぼす影響については現在検討中である。 また、申請時に計画していたLnk変異ノックインマウスの作製についてはとりかかれていない。
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今後の研究の推進方策 |
まず、Lnk siRNA導入ES細胞およびLnk変異遺伝子導入ES細胞の遺伝子発現をコントロールES細胞と網羅的に比較検討する。次に、さまざまな細胞への分化誘導系を用いて、JAK/STAT系シグナルについて検討すると共に、Lnkの細胞分化に関する役割を明らかにする。特に、赤芽球系分化に関する影響を、glycophorin Aの発現、benzidine染色によるhemoglobin産生などによってコントロールと比較する。さらに、巨核球系分化に関する影響を、CD41やCD61の発現、フィブリノゲンへの結合などによってコントロールと比較する。 また、JAK2阻害剤の効果についてもLnkの野生型とそれぞれの変異体が発現した細胞と共培養することで、JAK/STAT系のシグナルについて検討する予定である。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究計画書の通りに、研究費を使用し、研究を遂行していく予定である。
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