研究課題/領域番号 |
24591403
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
瀧本 理修 札幌医科大学, 医学部, 講師 (10336399)
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研究分担者 |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 教授 (20244345)
小船 雅義 札幌医科大学, 医学部, 准教授 (90336389)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | AML |
研究概要 |
急性骨髄性白血病は骨髄移植などの救援療法を行っても5年生存率は約50%であり,依然として難治性腫瘍の一つにあげられる.その主たる原因として,白血病細胞に対する抗腫瘍薬や抗体医薬を含む分子標的薬の特異性が乏しく,正常細胞への影響が免れないためtotal cell killを達成し得ないことが考えられる.申請者らは1)骨髄性白血病細胞で発現するCD33(siglec-3, sialic acid-binding immunoglobulin superfamily lectins)やNotch1がフコシル化を受け活性化される事,2)白血病細胞ではfucosyltransferase(FUT)活性が亢進していることに着目し,白血病細胞特異的ないわゆる細胞標的療法を考案した.白血病細胞株に対するin vitroのdelivery法の確立を目指し,また,抗がん剤を内包化したリポソームのprototypeを作成し,Fucoseとliposomeの配合比,安定性,特異性などの検討を行った.その結果,prototypeのフコース結合リポソームで,CD33発現急性白血病細胞株に特異的な導入効果を認め,更に抗がん剤(Doxorubicin)を内包化したリポソームのにより高い抗腫瘍効果を認めた.また,フコース受容体あるいはフコシルトランスフェラーゼ(FUC 1-11,POFUT)に対するsiRNAを用いて,L-Fucoseの取り込みを阻害した際の導入効率を検討し特異性を今後検証する予定である.加えて動物実験モデルを用いてin vivoでの抗腫瘍効果の検討を実施する.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度予定したフコース結合リポソームの作製は予定通り進行し,至適化するかすることが可能であった.またin vitroにおける白血病細胞株への特異的な導入も検証することが可能であった.また,抗がん剤を内包化することにより抗腫瘍効果の確認も可能であった.当初,予定していたPOFUTによる特異的な制御に関しては今後実施する予定でおり概ね順調に進展していると考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
フコース受容体あるいはフコシルトランスフェラーゼ(FUC 1-11,POFUT)に対するsiRNAを用いて,L-Fucoseの取り込みを阻害した際の導入効率を検討し特異性を証明する.更に,臨床応用を目論んで,急性骨髄性白血病患者検体におけるCD33, Notchi-1の発現とフコース結合リポソームの導入効率を検討し,特異性を検証する.また,in vivo実験の準備として白血病モデルの作製も試みる.なお,L-Fucoseの受容体に関しては,現在cloningされていないため,cold excessにより阻害実験で証明が不十分であれば,lectin結合フコースを用いてpull-down/TOFMASS法により受容体の同定を試みる
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次年度の研究費の使用計画 |
主にこれまではin vitroでの試験計画が中心であり,主立った試薬類は購入済みであるため今年度はin vivoでの試験に備えた準備,購入が中心となる予定である.
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