研究概要 |
急性骨髄性白血病は骨髄移植などの救援療法を行っても5年生存率は約50%であり,依然として難治性腫瘍の一つにあげられる.その主たる原因として,白血病細胞に対する抗腫瘍薬や抗体医薬を含む分子標的薬の特異性が乏しく,正常細胞への影響が免れないためtotal cell killを達成し得ないことが考えられる.申請者らは1)骨髄性白血病細胞で発現するCD33がフコシル化を受け活性化される事,2)白血病細胞ではfucosyltransferase(FUT)活性が亢進していることに着目し,白血病細胞特異的ないわゆる細胞標的療法を考案した.具体的には,申請者らが独自に開発してきたリポゾームにsiRNAを封入する技術を応用し(Sato Y, Takimoto R, et al., Nat Biotech, 2008),リポゾームの脂質にフコースを結合することでフコース要求度の高い癌細胞(白血病細胞)に抗がん剤,核酸製剤(siRNA, antisenseなど)を特異的に送達する新規療法を開発することを目的とした.本年度はin vitroの特異的送達性を検証し,極めて高い効率でCD33陽性細胞への送達を確認した.また,in vivoでヒト白血病細胞株(HL60, K562, Kasumi1, HEL細胞)腫瘍の担癌ヌードマウスに対するL-Fucose-liposome-FAM標識核酸(siRNAなど)あるいはフコシル化-liposome-抗癌剤(DoxorubicinやDaunorubicinなど)のdelivery効率,抗腫瘍効果の検討を行い良好な結果を得ており,この結果を更にconfirmする予定である.
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今後の研究の推進方策 |
in vivoにおける薬物送達の特異性,抗腫瘍効果などを検討する.主にin vivoでヒト白血病細胞株(HL60, K562, Kasumi1, HEL細胞)腫瘍の担癌ヌードマウスに対するL-Fucose-liposome-FAMあるいはフコース結合-liposome-抗癌剤(DoxorubicinやDaunorubicinなど)のdelivery効率,抗腫瘍効果の検討を行なう
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