研究実績の概要 |
急性骨髄性白血病は骨髄移植などの救援療法を行っても5年生存率は約50%であり,依然として難治性腫瘍の一つにあげられる.その主たる原因として,白血病細胞に対する抗腫瘍薬や抗体医薬を含む分子標的薬の特異性が乏しく,正常細胞への影響が免れないためto tal cell killを達成し得ないことが考えられる.申請者らは1)骨髄性白血病細胞で糖鎖関連分子の発現が亢進していることに着目し,白血病細胞特異的ないわゆる細胞標的療法を考 案した.具体的には,申請者らが独自に開発してきたリポソームにsiRNAを封入する技術を応用し(Sato Y, Takimoto R, et al., Nat Biotech, 2008)リポソームの脂質に糖鎖を結合することで糖鎖関連分子要求度の高い癌細胞(白血病細胞)に抗癌剤,核酸製剤を特異的に送達する新規療法を開発することを目的とした.本年度は昨年度得られたin vitroの特異的送達性の結果と抗腫瘍効果をもとに,in vivoにおいて白血病担癌モデルマウスに対する抗腫瘍効果を検証した.糖鎖結合リポソームに白血病で汎用されているdaunorubicinを内包化し,daunorubicin単剤に対する優越性を検証することとした.その結果,糖鎖結合リポソームはdaunorubicin単剤に比較し極めて高い抗腫瘍効果を認めることができ,有望な新規治療法となり得ることが確認できた.,
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