研究課題
骨髄増殖性腫瘍(MPN)は真性多血症 (PV)、本態性血小板血症 (ET)および原発性骨髄線維症(PMF)を含み、成熟した骨髄系細胞の増殖から骨髄線維化や急性白血病への進展を来す。MPNにおける骨髄増殖はJAK2 V617F等のドライバー変異により起こるが、ドライバー変異のアリル量は症例により異なり、異常クローンの拡大機序については不明な点が多い。我々はHMGA2発現マウスがMPNを発症し、かつ造血幹細胞レベルでクローンを拡大させることを見出した(Ikeda et al., Blood, 2011)ため、今回実際のMPN症例におけるHMGA2 mRNAを定量した。健常者コントロール(n=13)の平均+2SDを上回るHMGA2 mRNAの発現を示した症例はPVで22% (5/23)、ET27% (9/33)だったのに対し、PMFでは100% (10/10)と高頻度であった(P < 0.01)。HMGA2 mRNA発現量は血清LDH値、JAK2 V617Fアリル量は白血球数とそれぞれ有意に相関していたことから、HMGA2発現がJAK2変異とは異なる経路でMPNの病態に関与していることが示唆された。一方、HMGA2はlet-7群マイクロRNAによる発現調節を受けることから、HMGA2 mRNA発現量が高い症例と正常な症例におけるlet-7発現量を比較したところ、前者においてlet-7群マイクロRNAの発現が有意に低下していた。さらにHMGA2はp16のプロモーターメチル化にも関与し、一部急性白血病でも発現していた。また、HMGA2発現マウスを長期間観察するとMPN様の増殖性造血のみならずMDS様の無効造血を呈した。以上から、MPNにおいてドライバー変異に加えマイクロRNAなどの異常に伴うHMGA2発現増加がMPNの病態に関与していることが示唆された。
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