研究課題
1.Homogeneously staining regions (HSRs)やdouble minute chromosomes (DMs)などの高度ゲノム増幅領域の中で形成されている2種類の新規のキメラ転写産物を同定した。急性骨髄性白血病でしばしばみられる8q24の高度増幅では、増幅はある領域の単純な増幅ではなく、複数の領域の複雑な組み合わせによって形成されている。1臨床検体および細胞株における8q24増幅を詳細に検討し、まずその増幅単位の境界に存在する遺伝子を抽出した。それらの向きと構造を検討し、キメラ遺伝子を形成する可能性が考えられる遺伝子についてプライマーを設定し、さまざまな組み合わせでのRT-PCRによって、臨床検体からPVT1-NSMCE2、細胞株からBF104016-NSMCE2という2種類の新規のキメラ遺伝子を同定した。PVT1とBF104016はいずれも非コード遺伝子であるが、両者に共通したNSMCE2は染色体再構成を抑制する働きが知られている。非コード遺伝子との融合によりNSMCE2の機能が抑制されることがゲノム不安定性につながり、chromothripsis(染色体破砕)によって説明されるようなこのような高度の複雑な増幅に関与している可能性が示唆された。2.未知のキメラ転写産物の同定のためのRNAシーケンスでは、種々の染色体異常を有する造血器腫瘍6検体の解析を行った。リボゾームRNA除去により、100bpのペアエンドでのシーケンスで平均1.3億塩基(1.1~1.45億塩基)の配列を読み、データについては現在解析途中であるが、defuseとfusionhunterという2種類の解析ソフトによる検討では、今のところ染色体転座に相当すると思われるキメラ転写産物は同定されていない。今後引き続き解析を進めていく。
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Genes Chromosomes Cancer
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