研究課題
フィロポディアはアクチンに富むスパイク状の細胞突起であり、細胞の遊走、血管新生、貪食等に必要である。フィロポディアを制御する分子はRho GTPaseの一種Cdc42とRhoFのみである。Cdc42ノックアウトマウスは胎生致死を来たし血球特異的なCdc42コンディショナルノックアウトマウスは骨髄系前駆細胞の増加と赤血球造血のブロックを示し骨髄増殖性疾患を来す。このことからフィロポディアは正常造血に必須であると考えられている。RhoFは脊椎動物以降の骨髄、リンパ球等にのみ発現する低分子量GTPaseであり、Cdc42を介さない特徴的な長いフィロポディア形成を制御している。RhoFの下流エフェクターは殆ど同定されておらずノックアウトマウスも未報告であり、その造血細胞における機能は不明である。研究代表者らはRHOFコンディショナルノックアウトマウス作製により血球系におけるRhoFの機能解析を計画した。ターゲティングベクターmRHOF KO/pNTをES細胞にエレクトロポレーションにより導入し相同組換え体を単離、同定した。これをC57BL/6Jマウスより採取した胚盤胞に注入し、回復を待って仮親の子宮に移植した。仮親から生まれたターゲットアレルを持つキメラマウスをCAG-FLPe Tgマウスと交配することによりコンディショナル(flox)アレルを持つマウスを得る事が出来た。floxアレルを持つマウスとCAG-Cre Tgマウスと交配することにより全組織でRHOFを欠損したマウスを得る事が出来た。RHOF欠損マウスはメンデルの法則に従い出生し、胎生致死ではないことが判明した。末梢血液細胞数、血小板機能等は野生型と差がなかった。胸腺、脾臓等を解析した結果、RHOF欠損マウスにおいて脾臓の辺縁領域の低形成が見られた。RHOF欠損により脾臓におけるBリンパ球の分化異常の可能性が示唆された。
すべて 2014
すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (2件)
Nagoya J Med Sci.
巻: 76 ページ: 293-305