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2013 年度 実施状況報告書

新規表面抗原ESAMを指標とした造血幹細胞の生理的特性の解析と白血病診断への応用

研究課題

研究課題/領域番号 24591423
研究機関大阪大学

研究代表者

横田 貴史  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60403200)

研究分担者 金倉 譲  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (20177489)
織谷 健司  大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70324762)
キーワード造血幹細胞 / ヒト白血病の診断
研究概要

申請者らは、マウスを用いた実験系で造血幹細胞の新規マーカーendothelial selective-adhesion molecule (ESAM)を発見した。継続した検討で、マウス造血幹細胞の活性化に伴い、ESAMの発現レベルが顕著に上昇することも明らかにした。そこで本研究では、造血幹細胞におけるESAMの発現の生理的意義を明らかにすることを目的に解析を行った。特に本年度は、ヒトの造血幹細胞におけるESAMの発現に関する解析を進めた。
ヒト臍帯血において、造血幹細胞が濃縮されているCD34陽性CD38陰性分画のほとんどの細胞が、ESAMを高発現していた。各種培養系や免疫不全マウスへの移植実験にて機能解析を行った結果、長期造血再構築能力を持つ多能性造血幹細胞はCD34陽性CD38陰性ESAM陽性分画に存在することが明らかとなった。さらに成人骨髄やG-CSFによって末梢血中に動員されたCD34陽性CD38陰性も、その多くがESAMを発現しており、多能性前駆細胞はESAM高発現分画に濃縮されていることが分かった。これらの知見から、ESAMはヒトにおいても造血幹細胞のマーカーとして有用であり、そのソースとなる組織に関わらず、造血幹細胞を濃縮できる普遍的な指標となり得ると考えられた。この結果は2013年12月の米国血液学会で発表した。
さらにヒト白血病細胞におけるESAMの発現に関しても解析を進めた。白血病細胞株を用いた検討では、骨髄球・赤芽球・巨核球系細胞でESAM陽性のものが多く、逆にリンパ球性白血病細胞株のほとんどがESAM陰性であった。ヒト白血病症例での検討も進めている。現段階では、病型間での差に関して知見を述べうるまでに至っていないが、少なくとも骨髄性白血病症例の多くにESAM発現陽性が確認できつつある。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

交付申請書では、造血幹細胞の生理的機能におけるESAMの発現の意義を明らかにし、ヒトの白血病の診断・治療に繋げていくことを本研究の目的として掲げた。研究期間の初年の段階で、造血幹細胞の活性化に伴うESAMの発現上昇の分子生物学的機序と生理的意義に関して多くの研究結果が得られた。本年度は、当初の予定通りヒトの造血幹細胞・白血病細胞におけるESAMの発現に関して解析を進めることが出来た。以上の状況を総合すると,本研究はおおむね順調に進展していると考えられる。

今後の研究の推進方策

ヒト白血病症例におけるESAMの発現について検討を進め、病型間での発現様式についてデーターをまとめる。さらにヒト白血病細胞におけるESAMの機能解析と新しい診断・治療法への応用を目指す。ヒト白血病細胞株を用いた実験で、骨髄芽球性白血病細胞株の一部にESAMが発現しており、更にその強度は同じ細胞株の中でも一様ではないことが分かっている。ESAM発現とin vivoでの増殖能や薬剤に対する感受性の関連を検討する。また、ESAM陽性白血病細胞を認めたヒト症例から、ESAM陰性とESAM陽性の白血病細胞を分離し、免疫不全マウスに移植する実験を行う。移植後長期間観察し、ESAM陰性とESAM陽性のどちらの分画が白血病幹細胞を含むのかを評価する。またESAM陽性ヒト白血病細胞が、マウス骨髄において血管内皮細胞などの間質細胞群とどのように相互作用するか、免疫組織染色法を用いて評価する。ESAM陽性分画に白血病幹細胞が存在する結果が得られた場合、その細胞を移植した免疫不全マウスに、ESAM自体あるいはその発現を制御する分子を標的とした薬剤投与を行い、腫瘍抑制効果を評価する。

  • 研究成果

    (2件)

すべて その他

すべて 学会発表 (2件)

  • [学会発表] A new HSC marker ESAM is necessary for erythroid cell recovery after bone marrow injury

    • 著者名/発表者名
      Takao Sudo, Takafumi Yokota, Kenji Oritani, Michiko Ichii, Tomohiko Ishibashi, Natsuko Fujita, Yuzuru Kanakura
    • 学会等名
      日本血液学会
    • 発表場所
      ロイトン札幌、札幌、北海道
  • [学会発表] Endothelial Cell-Selective Adhesion Molecule Marks Human Hematopoietic Stem Cells Regardless Of The HSC Sources

    • 著者名/発表者名
      Tomohiko Ishibashi, Takafumi Yokota, Michiko Ichii, Yusuke Satoh, Takao Sudo, Satoko Fujita, Yukiko Doi, Natsuko Fujita, Yasuhiro Nagate, Yuri Hamanaka, Keiko Matsui, Akira Tanimura, Norimitsu Saitoh, Sachiko Ezoe, Hirohiko Shibayama, Paul W. Kincade, Kenji Oritani, Yuzuru Kanakura
    • 学会等名
      米国血液学会
    • 発表場所
      Ernest N. Morial Convention Center, New Orleans, LA, USA

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公開日: 2015-05-28  

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