研究課題/領域番号 |
24591424
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
前田 嘉信 岡山大学, 大学病院, 助教 (60403474)
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研究分担者 |
谷本 光音 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (10240805)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | GVHD |
研究概要 |
GVHDの予防法および治療法は、ほとんど進歩しておらず、現在に用いられているシクロスポリンなどのカルシニューリン阻害薬やステロイドは主に活性化したT細胞に対する免疫抑制剤であるため、GVL効果や感染への免疫力の低下が避けられない。これに対し、過剰な “danger signal”であるHMGB1-RAGE系を制御する治療戦略は、免疫力を低下させることなくGVHDを抑制するため、これまでの免疫抑制剤とは全く異なるメカニズムによる理想的な予防・治療法と期待される。そこで、まず我々は、RAGE がGVHDの病態に与える影響の検討を以下の内容でおこなった。 ドナーとしてB6(H2b)マウスの大腿骨から骨髄を採取し、autoMACSによってT細胞(CD90+)を除去した骨髄幹細胞(TCD BM 5x10e6)と 脾臓から採取したT細胞(1x10e6)を用意する。レシピエントにはB6 (H2b)とMHCの異なるBalb/c(H2d)マウスを使用する。Balb/cに致死的放射線11Gyで前処置し、ドナー骨髄幹細胞およびT細胞を移植する。このマウスGVHDモデルで移植した結果、致死的GVHDが発生し組織学的にも確認された。次にこのマウスモデルを用い、RAGE欠損マウスがGVHDの病態に与える影響の検討を行った。RAGE欠損マウスをレシピエントとして用いた場合、コントロール群に比べ有意に致死的GVHDが発症し組織学的にも確認した。以上から RAGE がGVHDの病態に関与していることを明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ドナーとしてB6(H2b)マウス、レシピエントにはB6 (H2b)とMHCの異なるBalb/c(H2d)マウスを使用し、Balb/cに致死的放射線11Gyで前処置、ドナー骨髄幹細胞およびT細胞を移植する。このマウスGVHDモデルで移植した結果、致死的GVHDが発生し組織学的にも確認された。次にこのマウスモデルを用い、RAGE欠損マウスがGVHDの病態に与える影響の検討を行い、RAGE欠損マウスをレシピエントとして用いた場合、コントロール群に比べ有意に致死的GVHDが発症し組織学的にも確認した。以上から RAGE がGVHDの病態に関与していることを明らかとなり、当初の目的の第一段階達成された。抗HMGB-1抗体によるGVHD予防効果の検討が、まだなされていないが、すでに抗体は準備できており、マウスモデルで検討できる段階に来ている。また、免疫担当細胞のHMGB-1産生;移植後7日目のマクロファージ、DCからのHMGB-1の産生能をELISAで測定する系も完成しつつあり、おおむね研究の計画が達成されていると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
RAGE がGVHDの病態に関与していることを明らかとなったが、血液系細胞か上皮系細胞に発現しているRAGEのどちらが重要であるかは、キメラマウスを作製することによって検討する。つまりT細胞を除去した骨髄のみを移植し2月間経過したマウスは、血液系細胞はドナーに、上皮系細胞はホスト由来のキメラとなる。このキメラマウスをレシピエントに使用することにより、両者の役割を明確にする。また、RAGEノックアウトマウスから樹状細胞を採取し放射線、または同種移植の刺激によりワイルドタイプのコントロールと比べて同種免疫反応を誘導しやすいかと検討する。免疫担当細胞のHMGB-1産生;移植後7日目のマクロファージ、DCからのHMGB-1の産生能をELISAで測定する系も完成しつつあり、抗HMGB-1抗体によるGVHD予防効果の検討を行い、抗HMGB-1抗体によるGVHD抑制効果が明らかとなれば、抗癌剤を減量することなく過剰な“danger signal”を生体に伝わることを回避でき、よりGVHDの低い安全な移植治療への道が開かれると考えられる。抗HMGB-1抗体はすでに抗体は準備できており、マウスモデルで検討できる段階に来ている。
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次年度の研究費の使用計画 |
1、前年からの繰越分について 予定していた研究計画を一部翌年に持ち越したためその分を平成25年度経費として消耗品費として計上予定 2、次年度の研究費の使用計画について 上記の今後の研究の推進に、マウス購入・維持関連640(千円)、抗体関連140(千円)、ガラス・プラスチック器具類120(千円)、細胞培養試薬200(千円)、細胞培養用牛胎児血清100(千円)、調査研究旅費300(千円)を使用予定している。
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