研究課題
我々は、2013年7月から白血病抗原WT1を特異的に認識するT細胞受容体(TCR)遺伝子を導入し抗腫瘍効果を付与した患者自身のT細胞(TCR-T細胞)を用いる白血病に対する新たな細胞免疫療法の第I相多施設共同臨床試験(UMIN 0001159)を開始し、症例の蓄積と臨床的解析を進めている。それと並行して、より汎用性が高く、より効果的な白血病に対する細胞免疫療法を樹立する事を目的とした基礎研究を進めている。その成果として、新たにオーロラキナーゼA(AURKA)とテロメラーゼ逆転写酵素を標的とするTCR-T細胞を開発し、後者は移植適応の無い難治性成人T細胞白血病(ATL)に対する新たな治療法となる可能性が示された。次に、患者に輸注されたTCR-T細胞の臨床効果を高める手段として、白血病細胞を直接殺傷するCD8-TCR-T細胞の機能を強化する目的で、特殊なHLA class I拘束性ヘルパーCD4-TCR-T細胞を作成して、その有効性を確認した。その機序は、CD4-TCR-T細胞自体の直接的なキラー活性、ヘルパーT細胞としてCD8-TCR-T細胞のキラー活性の増強に加えて、ケモカイン産生を介した白血病細胞へのCD8-TCR-T細胞誘導、さらにセントラルメモリーT細胞誘導、即ち記憶細胞化の促進を介した生体内での生存期間の延長効果を含む「複合的な効果」であることを明らかにした。また、WT1特異的TCR-T細胞の骨髄性白血病幹細胞に対する抑制効果を、急性骨髄性白血病患者骨髄CD34陽性細胞分画を移植したヒト化マウスを用いる治療モデルと生体イメージング法を用いて検討し、再発抑制に重要な意義を持つ白血病幹細胞を抑制する細胞免疫療法の開発を進めた。最終年度には、TCRを介さない細胞傷害活性である、抗体依存性細胞傷害活性を合わせて有効利用できる、新たな細胞免疫療法の開発も開始した。
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