研究課題
がん化学療法後のB型肝炎ウイルス(HBV)再活性化は、致命的な合併症の1つであり、その対策の確立は急務の課題である。我々は、多施設共同臨床研究により、HBV既往感染歴を有するB細胞リンパ腫を対照として、CD20モノクローナル抗体、リツキシマブ併用化学療法後の再活性化のエビデンスを構築してきた。その結果として、”月1回”の定期的なHBV-DNAモニタリングによるpreemptive antiviral therapyによって、安全に治療継続が可能であることを示した(Kusumoto S et al, Clin Infect Dis. 2015 May 1. in press)。一方、T細胞リンパ腫におけるHBV再活性化のエビデンスは十分ではない。我々は、T細胞リンパ腫のうち、成人T細胞リンパ腫・白血病(ATL)に着目してHBV再活性化について後方視的に検討した。1) 尼崎中央病院と名古屋市立大学の共同研究において、治療前HBs抗原陽性かつ再発CCR4陽性ATLにエンテカビル予防投与しながら、CCR4モノクローナル抗体、モガムリズマブ単独治療を行ったところ、劇症肝炎にて死亡したことを報告した。制御性T細胞を抑制し、HBV特異的CTLの誘導によって、強い免疫応答による肝炎が劇症化に関連していることを示唆する症例報告であり、がん免疫療法を考える上で、示唆に富む臨床経過であった(Ifuku H et al, Hepatol Res. 2015 Mar 9. in press)。2) 名古屋市立大学病院にて2005年から2013年までに当院で診療した、HBV既往感染歴を有するATL33例を対象とし、HBV-DNAモニタリング下にて11.5%のHBV再活性化を認め、いずれも肝障害を呈することなく、経過したことを報告した(Totani H et al, Int J Hematol. 2015 ;101:398-404.)。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (8件) (うち査読あり 8件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 2件)
Clin Infect Dis.
巻: in press ページ: in press
Clin Cancer Res.
Hepatol Res.
10.1111/hepr.12513.
Int J Hematol.
巻: 101 ページ: 398-404
10.1007/s12185-015-1750-z.
10.1111/hepr.12496.
巻: 101 ページ: 109-11
10.1007/s12185-014-1714-8.
Hematology Am Soc Hematol Educ Program.
巻: 1 ページ: 576-83
10.1182/asheducation-2014.1.576.