研究課題
基盤研究(C)
本研究は、血友病インヒビターの制御法の開発を主目的とし、インヒビター誘導第VIII因子欠損マウス(血友病Aマウス)を疾患モデルに用い、自己体細胞由来人工多能性幹細胞(iPS細胞)の細胞移植が第VIII因子抗原特異的な免疫寛容をもたらしインヒビターの発症を抑制する可能性とその制御機序を細胞レベルで探索するものである。1)血友病Aマウスから皮膚線維芽細胞を単離し、初期化4因子であるOct3/4、Klf4、Sox2、c-Myc遺伝子、およびc-Mycを除いた3因子の遺伝子の導入を行い、4因子誘導から30コロニー、3因子誘導から6コロニーを得ることができた。2)得られたコロニーを20継代以上培養し、ES様形態、ALP染色、SSEA-1発現、Nanog, Eras, Fbx15,Oct3/4 などのmRNAの発現を確認し、iPS細胞の検証を行った。3)SIVベクターに完全長ヒト第VIII因子cDNAとB domain deleted第VIII因子 cDNAを組み込むとともに、これらの5’側上流にCMVおよびEF-1alpha プロモーター、あるいはautoimmune regulator (AIRE)、cadherin 5、CD68などの細胞特異的プロモーターを配置したコンストラクトを作製した。さらにトレーサー実験を目的としたEGFPcDNAおよびluciferase cDNAを組み込んだコンストラクトを同時に構築し、これらすべてについてSIV化を終了させた。4)EF-1alphaプロモーターを用いることにより樹立した第VIII因子由来iPS細胞でEGFPの持続な高発現細胞が得られること、AIREプロモーターがマウス胸腺上皮細胞株IT-76MHC細胞(東北大学伊藤恒教授より供与)において特異的なluciferase活性が誘導されることが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
当初の研究計画どおりに、血友病AマウスからのiPS細胞の樹立、遺伝子導入を目的とした完全長ヒト第VIII因子搭載SIVウイルスベクターの作製を終了し、次年度以降のin vitroおよびインヒビター誘導血友病Aマウスモデルを用いた研究へ展開する準備を完了したため。
血友病Aインヒビター発症の予防と治療に繋げる新規方策を開発するため、血友病Aマウス個体における免疫応答の制御を目的に胸腺組織への選択的なiPS細胞移植法を具現化する。特にiPS細胞から胸腺上皮細胞への分化誘導系の検討、SIVベクターを用いたiPS細胞へのヒト完全長第VIII因子遺伝子導入法の確立、さらにヒト第VIII因子を発現する血友病Aマウス由来iPS細胞のマウス胸腺組織への細胞移植法に研究を展開する予定である。
該当なし
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