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2013 年度 実施状況報告書

造血幹細胞移植後肺合併症とレニン・アンギオテンシン系

研究課題

研究課題/領域番号 24591431
研究機関東海大学

研究代表者

鬼塚 真仁  東海大学, 医学部, 講師 (80366012)

キーワード造血幹細胞移植学 / 移植後肺合併症
研究概要

研究目的;造血幹細胞移植後の非感染性移植後肺合併症におけるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の関与を明らかにし、予後不良な造血幹細胞移植後合併症における発症のメカニズム、予防法、治療法を解明することを目的とする。これまでの我々の研究結果から、移植後肺合併症にレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の関与が強く示唆される結果が得られているが、これらの結果の意味を特発性肺線維症(IPF)におけるレニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の意義と比較し、マウスモデルにおいて裏付けることを目的とする。
方法;移植後肺合併症と造血細胞移植と無関係の特発性肺線維症(IPF)の両者を比較し、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の肺繊維化に与える影響を推察する。また、マウスにおける肺レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の発現解析を行う。
結果;レシピエントではAGT領域における6つのSNPがIPS発症と有意に相関していた。また、これらのIPS high riskなSNP群は血漿中のangiotensinogenが有意に低値であった。このことから我々はAGT-/-、AGT+/-、AGT+/+の各マウスにおいて、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の遺伝子mRNAの発現量を評価した。この結果、AGT-/-、AGT+/-マウスではACE2の発現量が低値であることが判明した。
考察;ACE2は急性肺障害モデルにおいて、肺繊維化を防ぐ役割を果たしている。AGT-/-、AGT+/-マウスにおいてACE2の発現量が低値であることは、潜在的に肺繊維化に対して防御する力が弱い可能性が示唆される。
結論;移植後肺合併症発症の高リスク遺伝子多型はangiotensinogenの血漿中濃度が低値であることと関連する。これは防御因子であるACE2の発現量が低値であることに由来するものと考察する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

マウスにおける肺レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の発現解析を行った結果、AGT領域における6つのSNPがIPS発症と有意に相関していた。また、これらのIPS high riskなSNP群は血漿中のangiotensinogenが有意に低値であった。このことから我々はAGT-/-、AGT+/-、AGT+/+の各マウスにおいて、レニン・アンジオテンシン・アルドステロン系の遺伝子mRNAの発現量を評価した。この結果、AGT-/-、AGT+/-マウスではACE2の発現量が低値であることが判明し、潜在的に肺繊維化に対して防御する力が弱い可能性が示唆された。
今年度予定していたAGT-/-マウスの確保、繁殖が困難であったため、当初の実験計画よりも遅延している。しかしながら、マウス急性肺障害モデルを塩酸誤嚥モデルにより再現し、データをとり始めている。

今後の研究の推進方策

平成24年度に予定していた、マウス血清中のACE、Angiotensin II を測定すると同時に、同種免疫反応の強さを評価するために、炎症性サイトカイン・ケモカインをELISA 法にて測定し、薬剤投与の同種免疫反応への影響をさらに検討し、ACE 阻害剤とアンジオテンシン受容体阻害剤(ARB)での比較、またACE knockout マウスを用いた移植後肺合併症発症モデルにおける比較による解析を続ける。
薬剤投与量、投与期間、投与開始時期での比較検討するため、組織学的、分子生物学的に肺合併症の程度を評価し、移植後肺合併症マウスにおいてマウスの生存率が最も高い薬剤の組み合わせについて、ACE 阻害剤、アンジオテンシン受容体拮抗剤、免疫抑制剤を組み合わせて検討する。この結果により、実臨床への応用の手がかりとする予定。

次年度の研究費の使用計画

目的の因子を持つマウスの繁殖効率が想定していたものよりも悪く、当初の実験計画よりも遅延しているため。
東海大学実験動物飼育施設の利用経費や、実験実施に関わる組織標本の作成、免疫組織染色、定量PCRに関する東海大学生命科学統合支援センター利用料、実験消耗品の薬品類・キット類、論文作成のための英文校正費など

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公開日: 2015-05-28  

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