研究概要 |
今年度は、18 lineage抗体を用いる高度純化法(Exp Hematol 39:203,2011)を用いてヒト臍帯血由来CD34抗原陰性SCID-repopulating cell(CD34-SRC)の陽性分子マーカーとして、CD133を同定した(Leukemia, 2013, inpress)。次に、臍帯血由来18Lin-CD34+/-CD133+/-細胞をFACSで分取し、その幹細胞特性について解析した。CD34+CD133+細胞はCFU-GM,BFU-E,CFU-Mixコロニー形成能を示し、ヒト骨髄由来間葉系幹細胞(DP MSC)との共培養系で高い顆粒球系細胞への分化能を示した。一方、CD34-CD133+細胞は、BFU-E,CFU-Mixコロニー形成能を示すが、CFU-GMコロニーはほとんど形成しなかった。また、DP MSCとの共培養系においては、高い巨核球系細胞への分化能を示した。興味あることに、CD34抗原の発現の有無に関わらず、CD133+細胞のみがSRC活性を示した。CD34+/-CD133+SRCsは、いずれも二次移植可能であり、長期骨髄再構築能を示した。限界希釈法によりSRCの頻度を計算すると、CD34+CD133+細胞では1/98.8個、CD34-CD133+細胞では1/142個であった。以上より、CD133がCD34+/-SRCの陽性分子マーカーであることが示された。 また、臍帯血由来CD34-CD133+細胞をDP MSCと共培養し、造血幹細胞(HSC)の増幅を行った。その結果、CD34+CD38-CD90+SRCsをex vivoで産生できることが確認された。 未分化HSCにおけるCD34抗原のreversionに関しては、マウスと異なりヒトHSCではin vitro, in vivoにおいて認められなかった。
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