研究課題
基盤研究(C)
シェーグレン症候群(SS)は口腔内や眼の乾燥感を主症状とする自己免疫疾患である。全身性エリテマトーデス(SLE)や関節リウマチ(RA)などの他の自己免疫疾患に合併することも多いが、他の膠原病を合併しない原発性SSも多く存在する。本研究では、SSの発症や様々な臨床症状と関連する遺伝的背景を遺伝子多型、特に一塩基多型(single nucleotide polymorphism, SNP)を用いて明らかにすることを目的としている。SSの遺伝的背景を明らかにすることにより自己免疫疾患共通の遺伝的背景が明らかとなる可能性、SSに特徴的な遺伝的背景を明らかにできる可能性がある。これまでのSSに関する基礎的および臨床的研究に基づき、SSの発症に重要と考えられる免疫関連分子の遺伝子解析を行う準備段階として、SS患者データベースを作成し、SS患者さんからインフォームドコンセントを取得したのちにDNAの収集をおこなった。①SS患者約200名からDNAを収集した。また、疾患コントロールとしておもに全身性エリテマトーデス(SLE)患者約500名からもDNAの収集をおこなった。RA患者やその他の自己免疫疾患患者からのDNAも収集している最中である。②SS患者の臨床症状、自己抗体プロフィール、他の膠原病の合併の有無などに関しての患者データベースを作成した。③SLEで疾患感受性遺伝子として報告されているいくつかの遺伝子多型はSSにおいても関連が認められ、SSとSLEには一部共通した遺伝的背景を有している可能性が示唆された。
3: やや遅れている
統計学的解析に耐えうる十分なサンプル数が確保されていない。また、SSの疾患対照コントロールとしてSLE患者からのサンプルはある程度集まったが、RAなど他の自己免疫疾患のDNAサンプルの収集が十分でない。
引き続きSS患者のDNAの収集に努めるとともに、SS以外の自己免疫疾患患者からもできるだけ多くDNAを収集する。複数の疾患感受性遺伝子の相互作用、遺伝的背景と環境因子との関連についても検討する。
引き続きSS患者、健常人のサンプルを収集しデータベースに登録する。サンプル数を増やし統計学的解析に耐えうるサンプル数を確保する。SS以外のRAやSLE、強皮症などの検体の収集も進めていき、自己免疫疾患の対照疾患群としてSS患者群との比較検討を行う。いくつかの候補遺伝子の多型と疾患の病因や病態との関連が明らかとなった場合には、それぞれの遺伝子多型の疾患発症へ関与の程度を多変量解析などを用いて解析する。遺伝子-遺伝子間の相互作用のみならず、遺伝子-環境因子間の相互作用についても統計学的手法を駆使して解析を行なう予定。
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