研究課題
本研究では、IL-6を標的とした生物学的製剤トシリズマブ(TCZ)(ヒト化抗IL-6受容体抗体)が著効した関節リウマチ(RA)患者のTCZ投与前および投与後におけるCD4陽性ヘルパーT細胞の遺伝子発現変化を網羅的に解析することによりRAの病態への関与が推測される候補遺伝子を抽出し、マウスT細胞分化系、及びマウス関節炎モデルを用いてその機能に解析することを目的とした。TCZ投与症例およびコントロール薬剤投与症例の有効例において、末梢血CD4陽性T細胞のDNAアレイ解析で治療後12週で有意にシグナル値の変動するプローブを抽出した。その中で従来ヘルパーT細胞分化に関する知見のないARID5A、制御性T細胞(Treg)における役割の明らかでないHelios、ならびに濾胞ヘルパーT細胞(Tfh)における役割の明らかでないBcl-3に注目した。ヒト末梢血およびマウス脾臓由来のナイーブCD4陽性T細胞から各種条件で分化誘導した細胞におけるmRNA発現解析、レトロウイルスベクターによるARID5Aの強制発現、レポーター解析、さらにウェスタンブロット解析により、ARID5AはTh17分化の新規抑制分子であることが示され、その機序としてRORgtへの直接結合による阻害が示唆された(Arthritis Rheumatol 2014;66:1185)。また、CD4陽性T細胞におけるHelios発現に対するIL-6/TGFbの影響、Helios強制発現のTreg機能に対する影響、レトロウイルスベクターによるARID5Aの強制発現、さらにFoxP3欠損マウス由来のCD4陽性T細胞の解析により、HeliosがFoxP3と強調してTreg機能を増強することが示された(Arthritis Rheumatol 2015 [Epub ahead of print])。また、Bcl-3を強制発現した際のCD4T細胞における遺伝子発現のRNAシークエンス解析、Tfh分化におけるBcl-3の強制発現とノックダウンの影響の解析により、Bcl-3がTfh分化とRAの病態に関わっていることが明らかとなった(論文投稿中)。
すべて 2014
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Arthritis Rheumatol
巻: 66 ページ: 3524-3525
10.1002/art.38858
巻: 66 ページ: 1421-1431
10.1002/art.38400
巻: 66 ページ: 1185-1194
10.1002/art.38324