研究課題
本研究では、Cas-Lの関節炎発症機構における病態生理学的役割について解析を行うとともに、新規マクロライド化合物5-Iの炎症性サイトカイン抑制作用とコラーゲン誘導関節炎抑制効果について検討した。1) Cas-Lノックアウトマウス(KO)と野生型マウス(WT)にII型コラーゲンで関節炎(CIA)を誘導した場合、KOマウスでは発症の遅延と重症度の低下が観察された。2) KOマウスとWTマウスの血清中抗コラーゲン抗体価を測定した結果、KOマウスでは抗体価が有意に低値であり、コラーゲン再刺激後の細胞増殖反応は低下していた。3) KOマウスとWTマウス間での骨髄細胞移植実験では、KOマウス骨髄を致死量の放射線を照射したWTマウスへ移植した群[KO→WT]と、WTマウス骨髄を致死量の放射線を照射したKOマウスへ移植した群[WT→KO]にCIAを誘導したところ、[KO→WT]では、[WT→KO]に比較して重症度の低下を認めた。KOマウスとWTマウスの脾臓由来CD4陽性T細胞に対し、抗CD3抗体と抗CD28抗体およびインテグリンリガンドで共刺激を行い、その細胞増殖反応を評価した。この結果、抗CD3抗体/抗CD28抗体での共刺激ではKOマウスの方で有意に細胞増殖反応が高値であった。逆に、抗CD3抗体/インテグリンリガンドでの共刺激系では、KOマウスの方で細胞増殖反応が高値であった。4) KOマウスでは、血清中の炎症性サイトカインの低下・抑制性サイトカインの上昇が認められた。5) 本研究では、抗菌作用のない新規マクロライド化合物5-Iを導出し、その炎症性サイトカイン抑制とマウスコラーゲン誘導関節炎抑制効果を見出した。さらに、ヒトリンパ球を用いたマイクロアレイ解析の結果、5-I及びロキシスロマイシンは、Thl7細胞への分化に重要な核内転写因子ROR-gammatの発現を抑制することを明らかにした。
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