研究課題/領域番号 |
24591444
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
嶋 良仁 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (90362706)
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研究分担者 |
田中 敏郎 大阪大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40273651)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 全身性強皮症 / interleukin-6 / 抗IL-6受容体抗体 / tocilizumab / サイトカイン / 生物学的製剤 |
研究概要 |
全身性強皮症に対する抗interleukin-6受容体抗体(トシリズマブ[TCZ])の治療的効果を検討するための試験を遂行中であるが、本研究ではこの研究に参加いただいた患者の血清、組織をもっていかなる影響があったかを検証することを目的としている。 当施設での予定症例数8例のうち6例は投与もしくは観察を終了し、残る2例は現在進行中である。これまでに3例にTCZ投与を終了し、内2例ではTCZ投与開始後にmodified Rodnanスキンスコアの変動が観察され、1例はスキンスコアの減少は観察されなかった。当施設倫理委員会で認可されたプロトコールに従って、患者同意のもと確保された血清より各種サイトカインの測定を行うが、終了した6例について血清中interleukin-6 (IL-6)濃度の測定を行った。TCZに反応のなかった症例の投与開始前IL-6濃度は3.6pg/mLであり、TCZ開始後にスキンスコア変化があった症例の同濃度(それぞれ6.4、10.9pg/mL)より低値であった。血清中IL-6濃度を継時的に追跡すると、TCZ投与群では投与開始後IL-6濃度は緩徐に上昇し、その後低下する傾向が観察された。関節リウマチ患者にTCZが投与された時に、開始後2週間までIL-6濃度上昇が観察されることが既に報告されているが[1]、今回の検討ではIL-6濃度のピークはそれぞれ3か月後、2か月後、5か月後に観察されており、関節リウマチの報告と異なる傾向であった。しかしながら、TCZ非投与群においても何かしらかのアクシデント(感冒など)によってIL-6濃度は上下変動が観察されており、その解釈には慎重を有すると考えられた。 [1] Nishimoto et al. Blood 2008 Nov 15;112(10):3959-64
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
経費を抑制するために、血清中サイトカインを測定する研究については全ての患者検体の集積を終了した後に測定を行う予定であったが、患者エントリーに予定よりも時間を要したため進捗が遅れた。 このため、観察を終了した6例の血清についての検討を先行させることとし、最も重要と考えるIL-6濃度についての測定を行った。
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今後の研究の推進方策 |
試験で計画した8例(TCZ投与群4例、既存治療継続群4例)のうち、6例は観察を終了しており、その血清を用いてIL-6濃度の変動の測定を既に行った。残る2例についても観察が現在進行中であり、本年度中に検体の集積が終了するスケジュールである。予定より遅れが発生しているが、予定された計画を進める。
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次年度の研究費の使用計画 |
現在残る2例の患者検討を開始しており、平成25年中に終了する予定である。この2例の患者血清中IL-6濃度測定をまず終了させる。計画では24年度中に試験に参加いただいた患者血清を用いてIL-6以外の、Interleukin(IL)-1β、TNF-α、IL-17、IL-18、TGF-βなど他のサイトカイン測定も行う予定であったが、これについて平成25年度に順次行う。サイトカイン濃度の測定はBioPlex装置を用いて行う計画であるので、これに使用する試薬類を25年度研究費と本年未消費の研究費とで購入する。 計画では平成25年度に患者組織検体を用いた病理組織検討を行う予定であるが、これは予定通り進行する。病理組織作成に掛かる試薬等経費を25年度予算より使用する。
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