研究課題
全身性強皮症の病態形成にinterleukin-6(IL-6)の関与が疑われることから、抗interleukin-6受容体抗体(トシリズマブ[TCZ])の治療的効果を検討する試験を遂行中である。本研究ではこの研究に参加いただいた患者の血清、組織をもっていかなる影響があったかを検証することを目的としている。当施設倫理委員会で認可されたプロトコールに従って、患者同意のもと確保された血清よりEnzyme Linked Immunosorbent Assay (ELISA)法、およびBio-Plexを用いて各種サイトカインの測定を行った。全身性強皮症の皮膚病変へのTCZの影響についてはスキンスコアの低下が現れた症例と認めがたい症例とが存在した。血清中のサイトカインのプロファイルによってこの結果が次善に予測できれば好都合であることから、23種の血清中サイトカインとスキンスコア変動との相関を求めた。TCZはIL-6の作用を阻害する抗体であることから、血清中IL-6が高い症例は反応がよいかと予想されたが、反応良好例と不良例とも間にIL-6濃度の違いは見いだせなかった。反応が良好であった症例において、経時的にサイトカインプロファイルを追跡すると、TCZ投与開始後に一過性上昇が観察されたものにIL-6、IL-8、IL-1beta、MIP-1alfaがあり、スキンスコアの変動に従って低下したものにIL-10、IL-12、IL-9があった。IL-5、IL-7、PDGF、TNF-alfaについては特にTCZ開始後に影響を認めなかった。今回の検討は症例が僅少であるため、各種サイトカインの高低とTCZ治療の効果の程度との関連を検討するには、今後も症例数を積み重ねて検討する必要があると考えられる。
すべて 2015
すべて 学会発表 (2件) 図書 (1件)