研究課題
基盤研究(C)
SLE患者(n=26)および健常人(n=26)の空腹時血清を採取した。採取に際しては、神戸大学医学部倫理委員会の承認のもと、インフォームドコンセントを得て文書にて確認した後に検体を採取した。血清サンプルの前処理(水溶性代謝物の抽出と誘導体化)を行い、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を用いてメタボロミクスを行った。解析の結果62種類の低分子代謝物が同定され、そのうち24種類の代謝物がSLE患者血清において有意に変動していた。そして、62個の代謝物データを用いて多変量解析の主成分分析(principal component analysis analyses; PCA)を行ったところ、SLE患者群と健常人群とではっきりとグループ分けをすることができた。さらに、PCAおよびPLS回帰法(部分最小二乗による判別分析、partial least Square; PLS-DA)を利用した解析の結果、5つの代謝物が、SLE群と健常人群のグループ分けに大きく寄与していることが明らかとなった。続いて、62種の全代謝物について、SLEの疾患活動性の指標であるSLE Disease Activity Index (SLEDAI) scoreとの相関を調べたところ、2つの代謝物の濃度とSLEDAI scoreが有意に相関することが明らかとなった。
2: おおむね順調に進展している
当初の計画では、平成24年度は血清のメタボロミクスを行い、多変量解析などによって膠原病の血清で有意に変動している代謝物や、膠原病群と健常人群とのグループ分けに寄与している代謝物を同定することを目標としていた。そして今回、代表的膠原病であるSLEについてその目的を達成することができた。
SLE以外の膠原病についても、血清メタボロミクスを行い、様々な膠原病の血液中で特徴的な代謝変動がないかどうか調べる。また、血清のみならず、膠原病患者由来の細胞(滑膜細胞 etc.)中のメタボロームのプロファイルを、健常人由来の細胞中のメタボロームプロファイルと比較する。
サンプル前処理用試薬 100千円、質量分析関連試薬 150千円、GC用キャピラリーカラム 250千円、質量分析関連パーツ 250千円、細胞培養関連器具・試薬 150千円 成果発表(海外、国内)250千円
すべて 2013 2012
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件) 学会発表 (14件)
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