研究課題/領域番号 |
24591445
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研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三枝 淳 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20514970)
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研究分担者 |
森信 暁雄 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10294216)
河野 誠司 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20351512)
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キーワード | メタボロミクス / 全身性エリテマトーデス / バイオマーカー / 関節リウマチ |
研究概要 |
代表的な膠原病である全身性エリテマトーデス(SLE)患者(n=26)および健常人(n=26)の空腹時血清を採取した。採取に際しては、神戸大学医学部倫理委員会の承認のもと、インフォームドコンセントを得て文書にて確認した後に検体を採取した。 血清サンプルの前処理(水溶性代謝物の抽出と誘導体化)を行い、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を用いてメタボロミクスを行った。解析の結果62種類の低分子代謝物が同定され、そのうち25種類の代謝物がSLE患者血清において有意に変動していた。そして、62個の代謝物データを用いて多変量解析の主成分分析(PCA)を行ったところ、SLE患者群と健常人群とではっきりとグループ分けをすることができた。さらに、PCAおよびPLS回帰法(PLS-DA)を利用した解析の結果、glutamic acid, glycerolなどの5つの代謝物が、SLE群と健常人群のグループ分けに大きく寄与していることが明らかとなった。 さらに、もう一つの代表的膠原病である関節リウマチ(RA)患者(32名)の血清についてもメタボローム解析を行い、SLE患者群および健常人群と比較した。その結果、RA群とSLE群とで多くの代謝物が異なる変動パターンを示すことが判明した。 続いて、62種の全代謝物について、SLEの疾患活動性の指標であるSLE Disease Activity Index (SLEDAI) scoreや血液中の抗DNA抗体価、補体価との相関を調べたところ、血清中のglutamic acidの濃度とSLEDAI scoreおよび血清C4濃度が有意に相関することが明らかとなった。 以上、GC/MSを利用したSLEの血清メタボロミクスにより、SLE患者血清に特有な代謝変動を明らかにした。そして、疾患活動性との相関の解析などより、いくつかの代謝物はその病態に関与していると考えられた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
代表的な膠原病であるSLEとRAの血清メタボロミクスは終了したため。
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今後の研究の推進方策 |
治療前後の血清中の代謝物(メタボライト)の変動について解析する。 リンパ球、滑膜細胞といった膠原病患者由来の細胞内の代謝物の変動を調べる。
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