研究課題/領域番号 |
24591445
|
研究機関 | 神戸大学 |
研究代表者 |
三枝 淳 神戸大学, 医学部附属病院, 講師 (20514970)
|
研究分担者 |
森信 暁雄 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (10294216)
河野 誠司 神戸大学, 医学部附属病院, 准教授 (20351512)
|
研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
|
キーワード | メタボローム解析 / バイオマーカー / 膠原病 / 全身性エリテマトーデス / 関節リウマチ |
研究実績の概要 |
代表的な膠原病である全身性エリテマトーデス(SLE)(n=26)と関節リウマチ(RA)(n=27)、および健常人(n=26)の空腹時血清を採取した。血清サンプルの前処理(水溶性代謝物の抽出と誘導体化)を行い、ガスクロマトグラフィー質量分析計(GC/MS)を用いてメタボローム解析(メタボロミクス)を行った。 SLE患者血清では、25種類の代謝物の濃度が有意に変動していた。そして、主成分分析(PCA)により、SLE群と健常人群とでグループ分けをすることができた。さらに、PCAおよびPLS回帰法(PLS-DA)の結果、glutamic acid, glycerolなどの5つの代謝物が、SLE群と健常人群のグループ分けに大きく寄与していることが明らかとなった。 続いて、全代謝物について、SLEの疾患活動性の指標との相関を調べたところ、血清中のglutamic acidの濃度とSLEDAI scoreおよび血清C4濃度が有意に相関することが明らかとなった。 また、RAについては、生物学的製剤の新規導入あるいは切り替えを行った症例に絞り、同製剤導入前および導入後の空腹時血清を採取した。RA患者血清(同製剤導入前)では44種類の代謝物の濃度が健常人と比して有意に変動しており、SLEと同様に、PCAによりRA群と健常人群は明確にグループ分けされた。そして、多変量解析などにより、RA群と健常人群のグループ分けに寄与している代謝物、疾患活動性と相関する代謝物、生物学的製剤前後で有意に変動する代謝物、そして同製剤治療の反応性を予測し得る代謝物、をそれぞれ同定することができた。現在これらの結果の検証研究を行っている。 以上、GC/MSを利用した血清メタボロミクスにより、SLE,RAといった膠原病患者血清に特有な代謝変動を明らかにした。そして、疾患活動性と相関する代謝物や治療反応性予測に有用な代謝物も同定されたことから、膠原病の血清メタボロミクスは新たなバイオマーカーの発見につながることが期待できる。
|