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2013 年度 実施状況報告書

IgG4関連疾患の病態形成メカニズムの解明

研究課題

研究課題/領域番号 24591447
研究機関岡山大学

研究代表者

佐藤 康晴  岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (00579831)

キーワードIgG4-related disease / Mast cell / IgE
研究概要

IgG4関連疾患では、Th2およびTreg系サイトカイン(IL-4, IL-5, IL-10, IL-13, TGF-betaなど)が病変部で上昇していることが知られており、T細胞がこれらサイトカインを産生していると考えられていた。しかしながら、T細胞がこれらのサイトカインを産生しているとすると矛盾する現象がいくつもある。加えてこれまで実際にそれらのサイトカインがT細胞によって産生されているというevidenceはえられていない。そこでわれわれはサイトカイン産生細胞を突き止めるべく研究を開始した。対象は顎下腺IgG4関連疾患、唾石症および口腔癌などで摘出された正常顎下腺をもちいた。まずパラフィン材料からRNAを抽出し、各種サイトカインの定量を行った。その結果、顎下腺IgG4関連疾患はコントロール群に比して有意にサイトカインの上昇が認められた。さらに免疫染色において各種サイトカイン陽性細胞が見いだされ、顎下腺IgG4関連疾患で有意に増加していた。さらにこれらサイトカイン陽性細胞はc-kitに陽性を示し、マスト細胞であることが確認された。
われわれの研究においてこれらのサイトカインがマスト細胞によって産生されていることが明らかとなった。IgG4関連疾患では、患者の多くにアレルギーの合併や既往が多く、病態形成に何らかのアレルギー的要因が示唆されていたが、今回の研究結果において、それを支持する結果となった。
本研究成果は病態形成メカニズム解明への大きな糸口になったと考えている。
なお、本研究成果は、病理学系トップジャーナルの一つである米国カナダ公式病理学会誌 Modern Pathology に掲載された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

当初の研究目的はサイトカイン産生細胞の同定であり、今回の研究において産生細胞がマスト細胞であることが明らかとなった。さらにIgG4関連疾患の病変部ではコントロール群に比して有意にIgEを高発現するマスト細胞が増加していることが明らかとなった。

今後の研究の推進方策

上述したようにサイトカイン産生細胞がマスト細胞であることが明らかとなった。これに加えて、IgG4関連疾患の病変部においてIgEを高発現するマスト細胞が増加していることから、何らかの抗原が病態形成に関与している可能性が示唆された。現在、抗原提示細胞である樹状細胞とIgG4関連疾患との関係について研究をスタートさせている。

  • 研究成果

    (13件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件) (うち招待講演 5件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] T helper 2 and regulatory T cell cytokine production by mast cells: A key factor in the pathogenesis of IgG4-related disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi M*, Sato Y*, Ohno K, Tanaka S, Takata K, Gion Y, Orita Y, Ito T, Tachibana T. Yoshino T.
    • 雑誌名

      Modern Pathology

      巻: 27 ページ: 1126-1136

    • DOI

      doi: 10.1038/modpathol.2013.236.

    • 査読あり / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] Epstein-Barr virus-infected cells in IgG4-related lymphadenopathy with comparison to extranodal IgG4-related disease.2014

    • 著者名/発表者名
      Takeuchi M, Sato Y, Yasui H, Ozawa H, Ohno K, Takata K, Gion Y, Orita Y, Tachibana T, Itoh T, Asano N, Nakamura S, Swerdlow SH, Yoshino T.
    • 雑誌名

      American Journal of Surgical Pathology

      巻: in Press ページ: in Press

    • DOI

      in press

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Systemic IgG4-related disease with extensive peripheral nerve involvement that progressed from localized IgG4-related lymphadenopathy.2014

    • 著者名/発表者名
      Fujii M, Sato Y, Ohara N, Hashimoto K, Kobashi H, Koyama Y, Yoshino T.
    • 雑誌名

      Diagnostic Pathology

      巻: 9 ページ: 41

    • DOI

      doi: 10.1186/1746-1596-9-41.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] IgG4-related disease involving the sclera.2014

    • 著者名/発表者名
      Ohno K, Sato Y, Ohshima K, Takata K, Ando M, Al-kader A L, Iwaki N, Takeuchi M, Orita Y, Yoshino T.
    • 雑誌名

      Modern Rheumatology

      巻: 24 ページ: 195-198

    • DOI

      doi: 10.3109/14397595.2013.852842.

    • 査読あり
  • [雑誌論文] IgG4関連疾患の病理-神経系を中心に-2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤康晴、吉野 正
    • 雑誌名

      神経内科

      巻: 80 ページ: 197-202

    • DOI

      unknown

  • [雑誌論文] Clinicopathologic analysis of IgG4-related skin disease.2013

    • 著者名/発表者名
      Sato Y, Takeuchi M, Takata K, Ohno K, Iwaki N, Orita Y, Goto N, Hida A, Iwamoto T, Asano N, Ito T, Hanakawa H, Yanai H, Yoshino T.
    • 雑誌名

      Modern Pathology

      巻: 26 ページ: 523-532

    • DOI

      doi: 10.1038/modpathol.2012.196.

    • 査読あり
  • [学会発表] IgG4関連疾患 vs. リンパ増殖性疾患2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤康晴、吉野 正
    • 学会等名
      第103回日本病理学会総会
    • 発表場所
      広島国際会議場
    • 年月日
      20140424-20140426
    • 招待講演
  • [学会発表] リンパ腫病理からみたIgG4関連疾患2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤康晴
    • 学会等名
      第62回日本病理学会関東支部学術集会
    • 発表場所
      東海大学代々木キャンパス
    • 年月日
      20140315-20140315
    • 招待講演
  • [学会発表] Multicentric Castleman's disease2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuharu Sato, Tadashi Yoshino
    • 学会等名
      The 2nd International Symposium on IgG4-Related Disease & Associated Conditions
    • 発表場所
      Sheraton Waikiki Hotel, Hawaii, USA.
    • 年月日
      20140216-20140219
    • 招待講演
  • [学会発表] IgG4関連疾患 ~日本発の新規疾患概念~2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤康晴、吉野 正
    • 学会等名
      第52回日本臨床細胞学会秋期大会
    • 発表場所
      大阪国際会議場(グランキューブ)
    • 年月日
      20131102-20131103
    • 招待講演
  • [学会発表] たぶん!? 知って得する悪性リンパ腫とIgG4関連疾患の豆知識2013

    • 著者名/発表者名
      佐藤康晴
    • 学会等名
      平成25年度細胞検査士会広島県支部総会
    • 発表場所
      広島大学医学部広仁会館
    • 年月日
      20130616-20130616
    • 招待講演
  • [図書] IgG4関連腎臓病のすべて(編集:斉藤喬雄、西 慎一)2014

    • 著者名/発表者名
      佐藤康晴、吉野 正
    • 総ページ数
      188(129-134)
    • 出版者
      南江堂
  • [図書] IgG4-related disease (Umehara H, Okazaki K, Stone JH, et al. ed)2014

    • 著者名/発表者名
      Yasuharu Sato, Tadashi Yoshino
    • 総ページ数
      237(187-193)
    • 出版者
      Springer

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公開日: 2015-05-28  

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