本年度は、まず動物実験においては、IL-21受容体欠損マウスと野生型マウスにII型コラーゲンを免疫することで関節炎を誘導し、発症率、重症度を比較した。その結果、IL-21受容体欠損マウスは関節炎誘導に高い抵抗性を示すことが明らかになった。繁殖交配をつづけ、マウス数を増やして実験し、再現性を確認した。関節炎経過中に血清を採取し、抗II型コラーゲン抗体価を測定した所、IL-21受容体欠損マウスでもIgMクラスの抗体は野生型マウスと同レベルで産生されていたが、IgG抗体価が著明に低下していることが判明し、これが関節炎抵抗性の原因の一つと考えられた。現在、IL-21受容体欠損マウスで抗体産生が低下するメカニズムについて、詳細に解析をおこなっているところである。 ヒト検体を用いた解析については、本年度はまず九州大学臨床研究倫理審査委員会によって、本研究遂行に関する研究計画の審査を受け、その実施の許可を得た。その後、主に末梢血を用いたフローサイトメーター解析を開始した。現在までに解析を行なったのは、まだ少数サンプルに限られるが、濾胞ヘルパーT細胞の頻度はかなり少ないこともあり、解析にやや苦労している。この細胞についての研究は盛んで、日々新たな知見が報告されてきているので、これらを参考に、各種実験プロトコールには適宜変更を加えてゆく予定である。
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