研究課題/領域番号 |
24591451
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
玉井 慎美 長崎大学, 保健・医療推進センター, 助教 (60380862)
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研究分担者 |
有馬 和彦 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 助教 (30423635)
上谷 雅孝 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40176582)
大山 要 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50437860)
青柳 潔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295071)
川上 純 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90325639)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / MRI骨炎 / 診断 / 治療 / 重症化予測 |
研究概要 |
本研究は、早期関節炎コホートを3期すなわち第I期(生物学的製剤導入期)、第II期(生物学的製剤浸透期)、第III期(目標達成に向けた治療(Treat-to-Target (T2T))浸透期)に分割、各時期において臨床評価および新寛解基準の観点からMRI骨炎の意義を臨床的・遺伝的・分子生物学的機序から多角的に解析し確実な診療アルゴリズムの確立を目指すものである。 平成24年度は特に予後不良因子である自己抗体陽性症例に絞り臨床データの解析を行った。なお早期関節炎コホート全例ではないためpreliminaryな結果である。対象は78名で第I期43名、第II(-III)期35名である。初診時患者背景は、平均年齢54歳、女性比82%、平均罹病期間4.8ヶ月、CRP陽性74%、MMP-3陽性40%、SDAI 25.1、MRI osteitisを46%に認め、Genant-modified Sharp scoreは1.62であった。1年後、SDAI寛解29%、MRI osteitisスコア軽快(1/3以下まで減少)20%、X線進展35%を認め、治療薬フリーが8%存在した。第I期と第II(-III)期間の比較では、1年後のMRI osteitisスコア軽快(12% vs. 26%)、1年後SDAI寛解(29% vs. 57%)、1年後X線進展(47% vs. 21%)、治療薬フリー(0% vs. 17%)に有意差を認めた。第II(-III)期35名は、SDAI寛解の有無(寛解20名、非寛解15名)、MRI osteitisスコア軽快の有無(軽快10名、非軽快25名)で有意差はなかった。症例が少ないため多変量解析は行わなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本研究は早期関節炎コホートを3期に分割し、各期においてMRI骨炎の意義を臨床的・遺伝的・分子生物学的機序から多角的に解析し、診療アルゴリズムの確立を目指すものである。1年目の平成24年度は、予後不良因子である自己抗体陽性症例の臨床データを検討したが少数で解析に耐えうるものではなかった。第一項目のMRI骨炎と臨床的疾患活動性、骨破壊の関連は、自己抗体陽性例というコホートの一部の事実しか明らかにできていない。MRI骨炎は治療ストラテジーに関わらず臨床的疾患活動性と骨破壊を反映するか否か、また臨床的寛解との異同性は、これも症例が少ないため解析できていない。第二項目のバイオマーカーを抽出するべく、第III期症例の初診時臨床データおよびMRI osteitisやX線の経過、環境要因(喫煙、飲酒、コーヒーなど)を収集中(現在1/2症例)である。抗体アレイ、ELISA およびイムノコンプレキソームの解析は現在血清ピックアップ中である。第三項目のMRI 骨炎を取り入れた診断基準は前項目の解析が進められないため策定できない。従って平成25年度計画が速やかに着手できない。
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今後の研究の推進方策 |
平成25年度研究計画推進のためには、まず平成24年度計画部分を速やかに完結させることが不可欠である。解析のためには十分な症例数が必要であるため、現在も症例データ収集を日々遂行中である。また、並行して血清(初診時、3ヶ月毎)のピックアップを進め、分子生物学的アプローチに順調につなげる。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度の研究計画遂行の前に、平成24年度に終了できなかった項目を完了する。具体的には臨床データ収集を継続、血清をピックアップ後に分子生物学的解析を行い、解析を完了する予定である。
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