近未来の関節リウマチ診断・治療・重症化予測をＭＲＩ骨炎から考察する多角的な研究

2013 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 24591451
• 研究機関: 長崎大学
• 研究代表者: 玉井 慎美 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (60380862)
• 研究分担者: 有馬 和彦 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 講師 (30423635) ; 上谷 雅孝 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (40176582) ; 大山 要 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (50437860) ; 青柳 潔 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (80295071) ; 川上 純 長崎大学, 医歯(薬)学総合研究科, 教授 (90325639)
• キーワード: 関節リウマチ / MRI骨炎

研究概要

本研究は、関節リウマチ（rheumatoid arthritis: RA）における臨床評価、新寛解基準におけるMRI骨炎の意義を臨床的、遺伝的、分子生物学的機序を多角的に解析、確実な診療アルゴリズムの確立を目的とする。
MRI骨炎は早期RAにおいて独立したX線進行の予測因子とされている。また、骨破壊の予後不良症例、急速骨破壊進行（rapid radiographic progression：RRP）例はRAにおいて予後不良とされ、その予測は治療方針を決定する上で重要である。当科の早期関節炎前向きコホートサンプルを用い、目標に向けた厳格な治療（Treat-to-Target：T2T）は早期RAの臨床的疾患活動性とX線予後を改善させるか、またMRI骨炎はRRPを予測可能か検討した。X線はGenant-modified Sharp score（GmSS）で評価しΔスコアが1年間に3を超えるものをRRPと定義した。また、両手指関節MRIはRA MRI Score(RAMRIS)で評価した。早期RA76名中、RRPは12名（15.8％）と従来の報告通りの頻度であった。RRPと非RRPの単変量解析では、初診時MMP-3値、初診時と1年後のRAMRIS骨炎スコア、初診時と1年後のRAMRIS骨侵食スコア、初診時GmSS、1年後のSDAIおよびDAS28CRP値と寛解率、1年以内の生物学的製剤の使用が有意差を認め、3ヶ月後のSDAI、DAS28CRP改善に差を認めなかった。ロジスティック多変量解析の結果、初診時のRAMRIS骨炎スコアはRRPを予測する因子であった。別の解析で、1年以内の生物学的製剤の使用を入れた場合、初診時RAMRIS骨炎スコアと1年以内の生物学的製剤の使用が予測因子となった。どちらの解析においても初診時のRAMRIS骨炎スコアがRRP予測因子とされた。

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

これまでの解析は、RAにおけるMRI骨炎の臨床データの解析にとどまっており、当初に計画していた遺伝的、分子生物学的機序を多角的に解析し、確実な診療アルゴリズムの確立までに至っていない。なお、解析対象となる臨床データの数が十分ではない上、元来密接に関連する項目の解析であるため適切な解釈を模索中である。ただし、この臨床的解析は今後の解析の基礎となる重要なものである。

今後の研究の推進方策

初期の臨床データの解析が遅れ律速段階となっている。しかしながら、RAにおけるMRI骨炎の解析は、近い将来に論文化が可能な段階である。その解析が確定されれば、次に保存検体の解析に進むことが可能である。

研究成果

• [学会発表] Magnetic resonance imaging-proven osteitis at baseline predicts the early RA patients who will develop rapid radiographic progression: MRI is beneficial to find the window of opportunity in early RA
  • 著者名/発表者名: Mami Tamai, Yoshikazu Nakashima, Takahisa Suzuki, Yoshiroh Horai, Akitomo Okada, Junko Kita, Shin-ya Kawashiri, Naoki Iwamoto, Kunihiro Ichinose, Kazuhiko Arima, Hideki Nakamura, Masataka Uetani, Tomoki Origuchi, Kiyoshi Aoyagi, Katsumi Eguchi , Atsushi Kawakami
  • 学会等名: 第57回日本リウマチ学会
  • 発表場所: 京都国際会館（京都市左京区）
• [学会発表] Stringent therapies improve both radiographic and clinical outcome in early-stage RA patients from Japanese population: Longitudinal study from Nagasaki Early Arthritis Cohort
  • 著者名/発表者名: Mami Tamai, Yoshikazu Nakashima, Takahisa Suzuki, Junko Kita, Yoshiro Horai, Akitomo Okada, Shin-ya Kawashiri, Naoki Iwamoto, Kunihiro Ichinose, Kazuhiko Arima, Hideki Nakamura, Tomoki Origuchi, Masataka Uetani, Kiyoshi Aoyagi, Katsumi Eguchi, Atsushi Kawakami
  • 学会等名: European League Against Rheumatism 2013
  • 発表場所: Feria de Madrid（スペイン、マドリッド）
• [学会発表] Stringent therapies improve clinical, radiographic and magnetic resonance imaging outcome in early-stage rheumatoid arthritis patients from Japanese population: Longitudinal study from Nagasaki Early Arthritis Cohort
  • 著者名/発表者名: Mami Tamai, Yoshikazu Nakashima, Junko Kita, Ayuko Takatani, Ayako Nishino, Takahisa Suzuki, Yoshiro Horai, Akitomo Okada, Shin-ya Kawashiri, Naoki Iwamoto, Kunihiro Ichinose, Kazuhiko Arima, Hideki Nakamura, Tomoki Origuchi, Masataka Uetani, Kiyoshi Aoyagi, Katsumi Eguchi, Atsushi Kawakami
  • 学会等名: American College of Rheumatology 2013
  • 発表場所: San Diego Convention Center（USA、カリフォルニア州、サンディエゴ）
• [学会発表] Combination of MRI-proven osteitis with 2010 RA classification criteria improves the diagnostic probability of early RA whose disease duration less than 6 months
  • 著者名/発表者名: Mami Tamai, Junko Kita, Yoshikazu Nakashima, Takahisa Suzuki, Yoshiro Horai, Akitomo Okada, Tomohiro Koga, Shin-ya Kawashiri, Naoki Iwamoto, Kunihiro Ichinose, Kazuhiko Arima, Satoshi Yamasaki, Hideki Nakamura, Tomoki Origuchi, Masataka Uetani, Aya Fukushima, Kiyoshi Aoyagi, Katsumi Eguchi, Atsushi Kawakami
  • 学会等名: American College of Rheumatology 2013
  • 発表場所: San Diego Convention Center（USA、カリフォルニア州、サンディエゴ）