研究課題
本研究は、関節リウマチ(Rheumatoid arthritis:RA)における臨床評価、新寛解基準におけるMRI骨炎(あるいは骨髄浮腫)の意義を臨床的、遺伝的、分子生物学的機序の多角的な解析により、確実な診療のアルゴリズムの確立を目的とする。早期RAにおいてX線進行の独立した予測因子である、MRI骨炎に着目し検討した。X線進行例の中でも急速進行例(Rapid Radiographic Progression:RRP)、目標に向けた厳格な治療(Treat-to-Target:T2T)の実践により治療反応良好でも存在するX線進行例の抽出は、RA診療において重要である。長崎大学早期関節炎コホートを用い、まずRRPの解析を行った。76例中12例(15.8%)にRRPを認め、初診時MRI骨炎が予測因子として抽出された(オッズ比2.176、95%信頼区間1.319-3.590、p値0.0023)。次に、T2Tにより3ヶ月時点でEULAR good response、6ヶ月以降12ヶ月まで寛解維持にも関わらずX線進行を示す症例の予測因子を検討した。解析対象は76名中24例で、X線進行を認めたのは5名で、初診時MRI骨びらんが予測因子として抽出された(オッズ比3.00、95%信頼区間1.098-8.202、p値0.032)。OMRERACTによるMRIスコアで各々のカットオフ値は4.5(感度83.3%、特異度75.0%)、0.5(感度100%、特異度73.7%)であった。初診時(あるいは治療前)MRIはX線進行予測に有用であることが確認されたが、治療反応良好例におけるX線進行予測因子は予想に反し、MRI骨炎でなくMRI骨びらんであった。
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Annals of Rheumatic Diseases
巻: 74 ページ: e30
10.1136/annrheumdis-2014-206936
巻: 73 ページ: 2219 - 20
10.1136/annrheumdis-2013-205074