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2012 年度 実施状況報告書

ヒト試料を用いたアバタセプト(CTLA4-Ig)のリウマチ治療効果発現機序の解明

研究課題

研究課題/領域番号 24591453
研究機関和歌山県立医科大学

研究代表者

松谷 隆治  和歌山県立医科大学, 医学部, 講師 (70372290)

研究分担者 村上 美帆  和歌山県立医科大学, 医学部, 助教 (30595591)
西本 憲弘  和歌山県立医科大学, 医学部, 教授 (80273663)
研究期間 (年度) 2012-04-01 – 2014-03-31
キーワード関節リウマチ
研究概要

生物学的製剤未使用のRA患者に対するアバタセプトの有効性と安全性の検討試験(ABROAD STUDY)に登録された31例の患者のアバタセプト治療前、治療後24週において、全血よりフィコール遠心分離により末梢血単核球を分離して、T細胞表面マーカー(CD3、CD4、CD8)、B細胞表面マーカー(CD19、CD20、CD80)、活性化マーカー(CD25、CD69、CD62L)をFACS解析により調べた。さらに、制御性T細胞(CD4+CD25+Foxp3+)、Th1(CD4+IFNγ)、Th2(CD4+IL-4)およびTh17(CD4+IL-17)の変化を明らかにした。同時に血漿を分離し、IL-2, IL-4, IL-6, IL-10, TNFおよびIFNγ量を定量してサイトカインプロファイルを明らかにした。また、同意を得た健常人より同様にしてリンパ球サブセットとサイトカインプロファイルを明らかにした。その結果から、アバタセプト治療後24週において、CD4+T細胞におけるCD25+細胞の割合とその発現が有意に低下することが明らかになった。制御性T細胞の割合は、低下傾向を示したが治療前後で差は見られなかった。Th1、Th2およびTh17細胞の割合はいずれも治療前に増加しており、治療後24週時点でTh1およびTh2細胞は高値を持続し、一方でTh17細胞は治療後24週で有意に減少した。治療前の血漿中IL-6量は健常人対照群と比較して有意に高く、他のサイトカイン量も高い傾向を示した。アバタセプト治療後24週では、IL-4、IL-6、IL-10およびTNFが低下した。これらの結果から、アバタセプトはT細胞の活性化を抑制し、IL-6とTh17細胞を低下させることが明らかになった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

研究実施計画に基づき、生物学的製剤未使用のアバタセプト治療患者が当該研究に順調に登録され、31症例のアバタセプト治療前、治療後24週の末梢血単核球におけるリンパ球サブセットおよびサイトカインプロファイルを解析することができた。健常人対照群の解析も進み、健常人と治療前RA患者の比較あるいはアバタセプト治療前後の比較を実施することができた。本年度に計画していた治療前、治療後および健常人対照群の解析を実施し、アバタセプトのリウマチ治療効果発現機序についての理解が進んだことから、概ね研究計画は順調に進展している。

今後の研究の推進方策

アバタセプト治療リウマチ患者31症例の治療前および24週時点の解析が完了したが、今後の研究ではこれら症例の48週時点の試料を入手し、リンパ球サブセットおよびサイトカインプロファイルの解析を行う予定である。また、定期的な診療時の疼痛・膨張関節評価、DAS28-CRP、CDAI、SDAI、患者総合VAS、医師総合VAS、HAQ-DI、MMP-3、脂質検査値、関節X線評価、抗CCP抗体、安全性の評価などの臨床データを集積し、疾患活動性および治療反応性の解析から効果や安全性についての評価を進める。さらに、信頼性の高い統計的評価を行うために解析症例数を増やし、新たに登録される患者の解析を実施する。これらの解析から、疾患活動性指標と特定のT細胞サブセットやサイトカインが関連するかどうかの検討を行う。

次年度の研究費の使用計画

31症例のアバタセプト治療後48週時点ならびに新規登録された患者の治療前、治療後24週、48週のリンパ球サブセット解析を実施するため、FACS解析用抗ヒト抗体(50千円x12本、600千円)、測定用試薬(200千円)ならびに消耗品(300千円)を購入する。また、血漿中サイトカイン測定用として、サイトカイン測定キット(CBA Beads Assayキット x2キット、300千円)を購入する予定。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2013 2012

すべて 学会発表 (10件)

  • [学会発表] Abatacept treatment suppresses T cell activation in anti-cyclic citrullinated peptide antibody (ACPA) positive RA patients but not in ACPA negative RA patients2013

    • 著者名/発表者名
      Matsutani T, Murakami M, Sekiguchi M, Matsui K, Kitano M, Namiki M, et al.
    • 学会等名
      EULAR 2013
    • 発表場所
      Madrid, Spain
    • 年月日
      20130612-20130615
  • [学会発表] Changes in cytokine profiles in rheumatoid arthritis patients during abatacept treatment2013

    • 著者名/発表者名
      Murakami M, Matsutani T, Sekiguchi M, Matsui K, Kitano M, Namiki M, et al.
    • 学会等名
      EULAR 2013
    • 発表場所
      Madrid, Spain
    • 年月日
      20130612-20130615
  • [学会発表] 抗環状シトルリン化ペプチド抗体陽性RA患者におけるT細胞の活性化2013

    • 著者名/発表者名
      村上美帆、松谷隆治、李穎、關口昌弘、松井聖、北野将康、大村浩一郎、井村嘉孝、藤井隆夫、黒岩孝則、中原英子、前田恵治、村上孝作、川人豊、三森経世、佐野統、西本憲弘
    • 学会等名
      第57回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      京都国際会館,京都
    • 年月日
      20130418-20130420
  • [学会発表] アバタセプト治療は抗環状シトルリン化ペプチド抗体陽性RA患者の活性化T細胞を抑制する2013

    • 著者名/発表者名
      松谷隆治、村上美帆、李穎、關口昌弘、松井聖、北野将康、大村浩一郎、井村嘉孝、藤井隆夫、黒岩孝則、中原英子、前田恵治、村上孝作、川人豊、三森経世、佐野統、西本憲弘.
    • 学会等名
      第57回日本リウマチ学会総会・学術集会
    • 発表場所
      京都国際会館,京都
    • 年月日
      20130418-20130420
  • [学会発表] Blocking of CD28 co-stimulation with CTLA -4-Ig did not alter the activation status of CD8+ T cells in patients with RA2012

    • 著者名/発表者名
      Matsutani T, Li Ying, Murakami M, Fujii T, Kawahito Y Mimori T, Sano H, Nishimoto N
    • 学会等名
      第41回日本免疫学会学術集会
    • 発表場所
      神戸国際会議場,兵庫
    • 年月日
      20121205-20121207
  • [学会発表] 関節リウマチにおけるCTLA4-Ig共刺激シグナル阻害剤のCD8+ T細胞への影響2012

    • 著者名/発表者名
      松谷隆治、李穎、村上美帆、關口昌弘、松井聖、北野将康、大村浩一郎、井村嘉孝、藤井隆夫、黒岩孝則、中原英子、前田恵治、船内正憲、村上孝作、入交重雄、森田智視、川人豊、三森経世、佐野統、西本憲弘
    • 学会等名
      第40回日本臨床免疫学会
    • 発表場所
      京王プラザホテル,東京
    • 年月日
      20120927-20120929
  • [学会発表] アバタセプト(CTLA4-Ig)はT細胞の活性化を抑制し、IL-6の産生とTh17細胞を低下させる2012

    • 著者名/発表者名
      松谷隆治、李穎、村上美帆、李慧敏、青木千恵子、關口昌弘、松井聖、北野将康、大村浩一郎、村上孝作、藤井隆夫、黒岩孝則、中原英子、前田恵治、井村嘉孝、南平昭豪、川人豊、三森経世、佐野統、西本憲弘
    • 学会等名
      第33回日本炎症・再生医学会
    • 発表場所
      ホテル日航福岡,福岡
    • 年月日
      20120705-20120706
  • [学会発表] 関節リウマチにおけるCTLA4-Ig共刺激シグナル阻害剤治療は、Th1とTh2細胞に影響せず、Th17細胞を減少させる2012

    • 著者名/発表者名
      松谷隆治、李穎、村上美帆、李慧敏、青木千恵子、關口昌弘、他
    • 学会等名
      第44回日本インターフェロンサイトカイン学会学術集会
    • 発表場所
      神戸商工会議所,兵庫
    • 年月日
      20120621-20120622
  • [学会発表] Abatacept (CTLA4-Ig) suppresses T cell activation and reduces Th17 cells as wellas plasma IL-6 in patients with rheumatoid arthritis2012

    • 著者名/発表者名
      Matsutani T, Li Y, Murakami M, Lee HM, Aoki C, Sekiguchi M, et al.
    • 学会等名
      EULAR 2012
    • 発表場所
      Berlin, Germany
    • 年月日
      20120606-20120609
  • [学会発表] 生物学的製剤未治療RA患者に対するアバタセプト(CTLA4-Ig)治療前後におけるT細胞サブセットの変化2012

    • 著者名/発表者名
      松谷隆治,李穎,村上美帆,松井聖,關口昌弘,北野将康,村上孝作,藤井隆夫,大村浩一郎,前田恵治,中原英子,島岡康則,南平昭豪,入交重雄,松尾崇史,井村嘉孝,川人豊,三森経世,佐野統,西本憲弘
    • 学会等名
      日本リウマチ学会
    • 発表場所
      高ノ輪プリンスホテル,東京
    • 年月日
      20120426-20120427

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公開日: 2014-07-24  

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