研究課題/領域番号 |
24591455
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
瀬田 範行 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (40338372)
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研究分担者 |
桑名 正隆 慶應義塾大学, 医学部, 准教授 (50245479)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 関節リウマチ / 末梢血単球 |
研究概要 |
申請者はこれまで関節リウマチ(RA)病態形成における末梢血CD14+単球の役割を解明するため研究を行ってきた。その中で健常人末梢血にはほとんど存在しないCD14+CD15+CD34+細胞がRA患者末梢血には有意に存在することを見出した。一方、骨芽細胞や軟骨細胞へ分化しえる単球由来多能性細胞の前駆細胞が多く含まれるCD14+CXCR4high細胞が健常人と比べてRA患者末梢血中では少なく、高活動性RA患者の末梢血で更に少ないことも見出した。この研究成果から、これら細胞がそれぞれ「関節破壊を促進する悪玉単球と関節修復に関わる善玉単球」であるという仮説を着想した。そこで本研究は、RA患者末梢血で数的に相反する挙動を示す関節破壊に関与するCD14+CD15+CD34+細胞と、関節再生に関与するCD14+CXCR4high細胞の数的および質的違いを明らかにすること目的とした。 そこで、本研究の目的を達成するために平成24年度は末梢血中の関節破壊に関与するCD14+CD15+CD34+単球と関節再生に関与するCD14+CXCR4high単球の比率をRA患者と健常人で比較検討した。 方法は、RA患者16例と健常人14例の末梢血単核球を用いてCD14+単球中のCD15とCXCR4発現をフローサイトメトリーで解析し、CD14+CD15+CXCR4low単球とCD14+CXCR4high単球の比率を比較した。 結果は、RA患者では健常人に比べて有意にCD14+CD15+CXCR4low単球(関節破壊に関与する単球)へと偏奇していた(p < 0.01)。 この結果より、末梢血中の存在する関節破壊に関与する単球と関節再生に関与する単球のバランスがRA病態を制御する可能性が示された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の本年度の研究計画では「関節リウマチ(RA)患者の治療前後の末梢血善玉単球数と悪玉単球数の変化の解析」であったが、関節リウマチの治療前後の検体を十分量入手することは困難であった。そこで、疾患活動性のあるRA患者の末梢血と健常人の末梢血を用いた解析を行ったが、本研究の目的のひとつである関節破壊に関与するCD14+CD15+CD34+細胞と関節再生に関与するCD14+CXCR4high細胞の数的違いを十分に明らかにすることができたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、関節破壊に関与するCD14+CD15+CD34+細胞と関節再生に関与するCD14+CXCR4high細胞の質的違いを明らかにするために、RA患者と健常人の末梢血単核球をそれぞれプールし、フローサイトメトリーを用いてCD14+CD15+CD34+細胞とCD14+CXCR4high細胞を分離し、二つの細胞群におけるIL-1、IL-6、IL-8、TNFα、MCP-1、CCR1、CCR2、CCR5、CX3CR1などの遺伝子発現の違いを半定量的 PCRまたはReal-time PCRで比較検討する。 また、関節炎モデルマウスの末梢血単球のCXCR4、CD15、CD34の発現をフローサイトメトリーで継時的に解析することで、関節炎発症時における関節破壊に関与する単球と、関節再生に関与する単球の動向を分析する。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成24年度が終了した時点における未使用額の発生は効率的な物品調達を行った結果である。次年度の研究費は主に、末梢血単核球を分離するための試薬、フローサイトメーターの維持費、フローサイトメトリーに用いる各種抗体(CD14、CD15、CXCR4など)、RNA抽出キット、半定量的 PCRに用いるプライマー(IL-1、IL-6、IL-8、TNFα、MCP-1、CCR1、CCR2、CCR5、CX3CR1など)や試薬、Real-time PCRに用いるプローブや試薬、マウスの購入費と維持費などに使用する。
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