好中球の活性化する難病であるベーチェット病において、本研究は抗コフィリン1抗体の好中球機能に対する影響を明らかにし、治療応用へと展開するための研究基盤を確立することが目的である。 平成25年度についてはコフィリン1に対するベーチェット病患者における抗原性の確認をさらに検体数を増やして確認した。また、精製した抗コフィリン1抗体を用いて抗コフィリン抗体の好中球に対する影響について検討した。 本研究全体として研究項目①コフィリン1の抗原性の確認については、コフィリン1を3つのFragmentに分割し、大腸菌を用いてリコンビナント蛋白を作成した。ベーチェット病患者60人の血清でELISAを行った。コフィリン1に対しては11人(18.3%)の患者血清で少なくとも一つ以上のFragmentと反応した。2つ以上のFragmentと反応した患者血清は5検体(45.5%)であった。研究項目③ベーチェット病の活動性、臨床症状と抗コフィリン1抗体との関連の解明については臨床症状とは有意差がつくものがなかったが、臨床データにおいては赤血球沈降速度と関連がある傾向があった。研究項目②抗コフィリン1抗体の好中球の機能への影響の解明については、患者血清から精製した抗コフィリン1抗体と、好中球に反応させることにより検討した。遊走能については3μm孔のポリカーボネート膜を用いて測定したが抗コフィリン1抗体添加の有無によって有意差はなかった。サイトカイン分泌能に関しては抗コフィリン1抗体添加群の方がINFαの産生と関連する傾向があった。以上のことから一部のベーチェット病患者においてコフィリン1は複数のエピトープを持つことから主要抗原の一つであり、抗コフィリン1抗体の存在が好中球に影響を与えている可能性が示唆された。確立するためにはさらなる症例数の蓄積が必要である。
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