研究課題/領域番号 |
24591463
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
宮原 信明 岡山大学, 大学病院, 講師 (70335610)
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研究分担者 |
金廣 有彦 岡山大学, 医歯(薬)学総合研究科, 准教授 (20243503)
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キーワード | RAGE / bronchial asthma |
研究概要 |
昨年までの研究成果により、終末糖化産物受容体(receptor for advanced glycation end products:RAGE)がTh2細胞の感作、そしてアレルギー性の気道炎症に重要な役割を担っていることが示唆された。本年度は、RAGEは血球系細胞、支持組織細胞の両方に発現していることが知られているが、どちらへの発現がアレルギー性気道炎症に関与しているかを、キメラマウスを用いて明らかにした。骨髄移植をおこない、RAGEを血球系のみに発現するマウス、支持組織のみに発現するマウス、両方に発現するマウス、両方ともに発現しないマウスを作成し、それぞれアレルギー性気道炎症を発症させて、好酸球性炎症や杯細胞の過形成などの気道炎症の程度を比較検討した。血球系にのみRAGE発現を欠損するマウスは、RAGEを血球系および支持組織両方に発現するマウスと同程度にアレルギー性気道炎症を惹起した。一方で支持組織にのみRAGEの発現を欠損するマウスは、アレルギー性気道炎症の程度がRAGE発現をすべて欠損するマウスと同程度に低下していた。また、IL-13などの気道のTh2サイトカイン産生も、支持組織にのみRAGEの発現を欠損するマウスは、RAGE発現をすべて欠損するマウスと同程度に低下していた。以上より、RAGEの支持組織への発現が、アレルギー性気道炎症の進展に重要な役割を担っていることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
RAGEKOマウスと野生型マウスのアレルギー性気道炎症の違いが明らかにでき、またそのメカニズムとしてTh2への感作にRAGEが重要な役割をになっていることがわかり、またRAGEの支持組織への発現がアレルギー性気道炎症に深く関与していることが明らかになり、RAGEのアレルギー性気道炎症についての役割の概要を明らかにすることができたたため。
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今後の研究の推進方策 |
可溶性RAGEはデコイレセプターとしてRAGEを抑制する働きがあり、可溶性RAGE投与によりアレルギー性気道炎症の抑制が得られるかどうかを検証する。 HMGB1はRAGEの主要なリガンドであり、HMGB1を抗HMGB1抗体により抑制することで、アレルギー性気道炎症が抑制されるかどうかを検証する。
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次年度の研究費の使用計画 |
当初の研究計画のうち、次年度に予定している研究、およびその成果発表等の費用に必要なため。 可溶性RAGE、抗HMGB1抗体のアレルギー性気道炎症抑制効果の検討などの実験に使用する。また、研究成果の発表の旅費、論文投稿等の費用に使用する
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