研究概要 |
本研究ではTNF由来の細胞内ドメイン(TNF-ICD)が核に移行後、TNFの新しい機能を発揮する可能性に着目し、ICD形成後の遺伝子発現変化を解析する事により、TNF-ICDの機能の同定を行う事が目的である。 <変異SPPLの作成とSPPLによるTNFの切断後に生じるICDの確認>1)変異SPPL2aの作成: SPPLはGXGDモチーフのアスパラギン酸(D)を変異させると酵素活性が消失することがわかっているため、Inverse PCR法を用いてSPPL2acDNAに酵素活性部位変異を導入した(GXGD→GXGA, 変異SPPL2a)。2)T細胞株におけるSPPL2aによるICD形成の確認:TNFを恒常的に産生するT細胞株(Jurkat)にベクターのみ、野生型SPPL2acDNA、変異SPPL2acDNAを発現ベクターを用いて遺伝子導入した。ウエスタンブロッティングにより野生型SPPL2acDNAを遺伝子導入した場合のみ細胞内にICDが出現する事を確認した。 <TNFファミリー分子におけるSPP、SPPLの新しい基質の探索>膜内蛋白分解酵素のうち、その構造よりSPP, SPPLはII型膜蛋白を分解すると予想される。 TNFファミリー分子の多くはII型膜蛋白であるが、このうちSPP、SPPLの基質としてTNFとFasリガンドのみが報告されている(NatRev Mol Cell Biol 5: 499-504, 2004)。上記2分子以外の基質を見いだすため、本年度はTNFファミリー分子cDNA及びSPPcDNAまたはSPPLcDNAを発現ベクターに組み込んだ。TNFファミリー分子の候補はBAFF, APRIL, TRAIL, CD40リガンド等である。
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