研究課題/領域番号 |
24591465
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
塚本 浩 九州大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (70304772)
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研究分担者 |
堀内 孝彦 九州大学, 大学病院, 教授 (90219212)
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キーワード | TNF / 膜内蛋白分解酵素 / 関節リウマチ / 細胞内ドメイン / SPPL / TACE |
研究概要 |
本研究ではTNF由来の細胞内ドメイン(TNF-ICD)が核に移行後、TNFの新しい機能を発揮する可能性に着目し、ICD形成後の遺伝子発現変化を解析することにより、TNF-ICDの機能の同定を行う事が目的である。 <変異SPPLの作成とSPPLによるTNFの切断後に生じるICDの確認>1)変異SPPLの作成:膜内蛋白分解酵素であるSPPLはGXGDモチーフのアスパラギン酸(D)を変異させると酵素活性が消失することがわかっているため、Inverse PCR法を用いてSPPL2a、SPPL2b、SPPL2c及びSPPL3cDNAに酵素活性部位変異を導入した(GXGD→GXGA、変異SPPL)。2)T細胞株におけるSPPLによるICD形成の検討:TNFを恒常的に産生するT細胞株(Jurkat)にベクターのみ、野生型SPPL2a、SPPL2b、SPPL2c、SPPL3cDNAおよびそれぞれの変異SPPLcDNAを発現ベクターを用いて遺伝子導入した。細胞溶解後、ウエスタンブロッティングによりTNFのフラグメントを検出したところ、野生型SPPL2aを遺伝子導入した場合のみ細胞内にICDが出現した。一方、野生型SPPL2c、SPPL3cDNAを遺伝子導入した際には、TNFがTNF変換酵素(TACE)様の切断を受ける事が明らかになった。 <TNFファミリー分子におけるSPP、SPPLの新しい基質の探索> 膜内蛋白分解酵素のうち、その構造よりSPP、SPPLはII型膜蛋白を分解すると予想される。TNFファミリー分子はほとんどがII型膜蛋白であるが、このうちSPP、SPPLの基質としてTNFとFasリガンドのみが報告されている。上記2分子以外の基質を新たに同定するため、BAFF、APRIL、TRAIL、CD40リガンドcDNAを発現ベクターに組換えた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度までの実績により膜内蛋白分解酵素SPPLの中でSPPL2aのみがICD形成作用を有する事が明らかになった。さらに、SPPL2c、SPPL3がTACE様の酵素活性を有することが初めて明らかになった。
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今後の研究の推進方策 |
SPPL2c、SPPL3のTACE様作用についての解析:今回初めて明らかになったSPPL2c、SPPL3のTACE様作用につきさらに詳細な検討を行う。具体的には1)SPPLcDNAを遺伝子導入した細胞株培養上清中の可溶型TNFの濃度を比較する、2)TACE阻害薬による阻害を受けるか否か、等につき検討する。 TNFファミリー分子におけるSPP、SPPLの新しい基質の探索:SPP、SPPLの新しい基質を見いだすため、293T細胞株にBAFF、APRIL、TRAIL、CD40リガンドcDNA及びSPPcDNAまたはSPPLcDNAを同時に遺伝子導入後、ウエスタンブロッティングにてICD出現の有無を確認する。
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