研究課題/領域番号 |
24591466
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
太田 昭一郎 佐賀大学, 医学部, 助教 (20346886)
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研究分担者 |
出原 賢治 佐賀大学, 医学部, 教授 (00270463)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | ペリオスチン / マトリセルラータンパク質 / アレルギー |
研究概要 |
本課題では、ペリオスチンが炎症の進展過程で果たす機能を明らかにするため、ペリオスチンとその細胞表面受容体との結合様式を解明すると共に、ペリオスチンを標的とした阻害抗体を作製して新規アレルギー治療薬開発の基礎的研究を行うことを目的としている。本年度は以下の項目を実行する予定であった。 1. ペリオスチンとインテグリンαVβ3との結合様式の解明:インテグリンαVβ3を発現させたSW480細胞にリコンビナントペリオスチンを結合させ、抗ペリオスチン抗体を用いたフローサイトメトリーでペリオスチンの結合を検出することができた。また、同細胞をペリオスチンを固相化したプレートに接着させ、接着した細胞数を定量する系を構築した。 2. インテグリンαVβ3以外のペリオスチン結合分子の同定:ペリオスチンの結合する細胞の溶解液からペリオスチンを免疫沈降し、共沈する分子を質量分析機で同定しているところである。 3. ペリオスチンの阻害抗体の作製:1で構築した結合アッセイを指標に阻害抗体をスクリーニングする予定である。現在リコンビナントタンパク質を抗原として、マウスを免疫している。 4. ペリオスチンによるシグナル誘導の解析および阻害抗体の効果の検討:ペリオスチン固相化プレートに細胞を接着させ、FAKやMAPKなどのシグナル伝達を解析中である。 ペリオスチン阻害抗体のスクリーニング系が確立されたので、ハイブリドーマを作製次第、順次スクリーニングを行うことができる状況である。また、シグナル伝達の解析も進んでおり、当初の計画に準じて研究が進んでいる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画した項目は全て開始されており、ほぼ予定通り進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
平成24年度の研究を継続発展させると共に、場合によっては予定の計画通りに進まなかった研究の対応策を検討する。 ペリオスチンによるシグナル誘導の解析および阻害抗体の効果の検討 1) ペリオスチンを固相化したプレートでケラチノサイトを培養し、産生されるTSLPを指標にして、ペリオスチンによるシグナル誘導を評価する。このとき、ペリオスチンの阻害抗体や、結合配列の変異体を用いることで、ペリオスチンが受容体や可溶性会合分子と結合してケラチノサイトにシグナルを誘導することを確認する。 2) 新規結合分子が細胞表面受容体であった場合、その分子を発現させた細胞を作製し、ペリオスチンを作用させることによって起こる細胞内イベント(MAPカスケードやNF-κBなどの転写因子の活性化)を解析する。可溶性分子であった場合は、その可溶性分子の受容体の同定や、インテグリンαVβ3を介したペリオスチンのシグナル誘導においてその分子との会合が及ぼす影響について解析する。 3) マウス耳介にダニ抗原を塗布することでアトピー性皮膚炎モデルを作製する。このマウスにペリオスチン阻害抗体を局所または静脈投与することにより、皮膚炎の発症の抑制を試みる。抑制の効果は耳介厚、炎症細胞の浸潤、IL-4/IL-13やTSLPの産生によって評価する。
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次年度の研究費の使用計画 |
抗体作製費用(動物・細胞培養)や免疫学的・分子生物学的アッセイに使用する消耗品、および旅費に使用予定。
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