研究課題/領域番号 |
24591469
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
竹内 恵美子 北里大学, 医学部, 講師 (00406935)
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研究分担者 |
岩渕 和也 北里大学, 医学部, 教授 (20184898)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 全身性ループスエリテマトーデス / 濾胞樹状細胞 / 骨髄混合キメラ |
研究実績の概要 |
本研究はhuman SLEのモデルであるBXSB/Yaa マウスをhostに用いて、正常なマウスの骨髄を移植すると、正常骨髄から分化したCD4 T細胞がhost由来の自己反応性B細胞をtrimmingするため自己免疫疾患の発症が抑制されることを明らかにすることを目的としている。その際、donorにMHC完全不一致のマウスを用いてhost,donorのリンパ球が末梢で共存するようにするとdonor由来の自己抗体産生性B細胞が抗体を産生し続けるという結果が得られているため、hostの骨髄由来ではない細胞にB細胞を維持、活性化する異常もあると考え、濾胞樹状細胞(FDC)の機能に注目してきた。 BXSB/Yaaマウスの遺伝的異常は主にTLR7遺伝子の重複によりB細胞にTLR7が正常の約2倍発現していることによると考えられているが、qPCRによる発現解析によりFDCにもTLR7が正常の約2~4倍発現していることがわかった。FDCがB細胞活性化サイトカインであるBAFFを分泌するという報告があったため、FDCを分離してからin vtroでTLR7を刺激し分泌型BAFFの測定を試みたが測定できなかった。FDCを分離する過程に必要な処置にこの原因があると考え、FDC上の膜型BAFFの量をFACSにより直接測定する方法を確立した。 この系を用いてTLR7刺激が、FDC上の膜型BAFFの発現に影響するかをin vivoで検討した。TLR7 LigandであるR848の静脈注射によってFDC上の膜型BAFFは変化するが、コントロールとして用いているB6マウスとBXSB/Yaaマウスは反応の時間経過がことなるため、現在条件を振って、FACSと病理学的解析の両手法をもちいて応答の全体像をつかもうとしているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
BXSB/Yaaマウスのすでに明らかになっている遺伝子異常であるTLR7の重複が、自己抗体を産生しやすい体内環境をどのように形成しているのかを明らかにするため、リンパ節から分離したFDCをTLR7 ligandで刺激するin vitroの実験を行ってきたがFDCが分離できるように膜抗原の発現を高めるため放射線照射を行わざるを得なかった。 この問題を回避するためin vivoでTLR7を刺激する系に変え、まず正常マウスで予備実験を行い条件を決定したが、BXSB/Yaaで実験を行ったところ、反応のtimingが異なっており、BXSB/Yaaで条件の調節を決め直さなければならなくなった。
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今後の研究の推進方策 |
現在までの研究で、濾胞樹状細胞がTLR7から刺激を受け、BAFFの発現を介してB細胞の活性化を維持している可能性が出てきたが、今までの解析はFACSを駆使して行ってきたものであったため、FDC単独で見た場合にサイトカインの発現に変化があるかということが研究の中心になっていた。今後は、BXSB/Yaaマウスが持っているTLR7遺伝子の重複という異常が、濾胞樹状細胞の細胞膜上を場としたCD4 T cell/B cell interactionにどのような影響を与えているかについて、病理組織学的手法を用いて検討を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
予定通り適正に使用しており、誤差の範囲である。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通りに現在の研究計画を遂行すれば使用額の大幅な過不足は生じないと考えられる。
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