研究実績の概要 |
本研究課題は、human SLEのモデルであるBXSB/Yaaマウスを用いて、正常なマウスの骨髄を移植すると、正常骨髄から分化したCD4 T細胞がhost由来の自己反応性B細胞をtrimingするため自己免疫疾患の発症が抑制されることを明らかにすることを目的としている。その際、donorにMHC完全不一致マウスを用いて骨髄ハーフキメラとし、末梢でdonorB細胞がT細胞と相互作用できないようにするとdonor由来の自己抗体産生性B細胞が抗体を産生し続けるという結果が得られているため、hostの骨髄由来ではない細胞にB細胞を維持、活性化する異常もあると考え、その候補として濾胞樹状細胞(FDC)の機能に注目してきた。 BXSB/Yaaマウスの遺伝子異常は主にTLR7遺伝子の重複によりB細胞上にTLR7が正常の約2倍発現していることによると考えられているが、我々のqPCRによる発現解析によりFDCにもTLR7が正常の2~4倍発現していることがわかった。さらにFDCがB細胞活性化サイトカインであるBAFFを分泌するという報告があったため、FDCをin vitro, in vivoにおいてTLR7のLigandであるR848で刺激しBAFFの産生を測定した。in vitroの系においては、FDCを分離する際に必要な処置がFDCの状態を変化させてしまうため分泌型のBAFFを測定することはできなかった。in vivoの系において、R848を静脈に注射し直接FDCを刺激してFDCの膜状のBAFFの発現をFACSで解析したところ、TLR7刺激によりBAFFの発現が変化することがわかった。但し、FDCが産生するBAFFは血中濃度を変えるほど大量ではないため、BXSBで生後12週頃から観察される血清BAFFの上昇を説明できないことから、B細胞が活性化されやすい体内環境を作るBAFFのsourceとなる細胞が他にもあると考え、現在は好中球の機能を中心にさらに解析を進めているところである。
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