研究課題
これまでの2年間の研究より、喘息患者末梢血より精製した制御性T細胞(Treg)は、T細胞受容体からの刺激に応じてカルシウム応答性を示し、免疫抑制活性も減弱しており、その機構に細胞内RACK1分子が関与していることを証明した。健常人及び喘息患者Treg Jurkat細胞モデルを用いた昨年度のマイクロアレイ解析により、研究目的として想定していなかった結果を見出した。抗酸化タンパク質のチオールペルオキシダーゼの1種であるペルオキシレドキシンの発現量が、喘息患者Treg Jurkat細胞モデルで低下していた。この結果より、健常人Tregが酸化ストレス抵抗性を示し、喘息患者Tregモデルでは抵抗性が減弱していることが推測された。細胞は、炎症反応が起きている微小環境下では、酸化ストレスやpHの低下など様々な影響を受ける。その様な微小環境で機能するためにはTregも酸化ストレスに抵抗性を示す機構が必要であることは容易に推測できる。また、喘息患者では、炎症局所での酸化ストレス抵抗性減弱の為、Tregが十分に機能していないことが推測され、この機構を解明することは本来の目的とも乖離しておらず、Treg機能異常の一端であると考えられたため、最終年度は、Tregの酸化ストレス抵抗性に着目し研究を推進した。ペルオキシレドキシン(PRDX)は、哺乳類では6種類のアイソフォームが存在するが、PRDX2,3,4の発現低下がJurkat細胞モデル及び、喘息患者末梢血由来Tregで観察された。残りの3種に関しては、健常人と喘息患者で変化が認められなかった。末梢血由来Tregを過酸化水素により刺激したところ細胞内シグナル分子であるERKが、健常人由来Tregでは殆ど検出されなかったのに対し、喘息患者由来Tregでは容易にリン酸化され活性化されることが分かった。現在、このERKの活性化がアポトーシスシグナルを誘導するものか、サイトカイン等の産生を誘導するものかを解析中である。
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