研究課題/領域番号 |
24591472
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
伊藤 量基 関西医科大学, 医学部, 准教授 (70434826)
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研究分担者 |
野村 昌作 関西医科大学, 医学部, 教授 (20218358)
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キーワード | 樹状細胞 / 血小板 / アレルギー / CCL17 / RANKリガンド |
研究概要 |
本研究テーマを完遂するために、1)凝固系物質による樹状細胞(Denderitic Cell:DC)の活性化と炎症応答増強の実験システムの確立、2)そのシステムを利用して、線溶系物質による炎症反応制御能の検討という二段階を必要とする。昨年度に続き、凝固系物質である血小板を用いたDCの活性化機構を明らかにしその成果を論文として発表出来た。DCは炎症性Th2細胞誘導ならびに増殖を惹起し、アレルギー性炎症カスケードを引き起こす。上皮由来のサイトカインである胸線間質リンパ球増殖因子(thymic stromal lymphopoietin:TSLP)が、DCからTh2ケモカインであるCCL17を産生させることにより、メモリーTh2細胞の局所浸潤とアレルギー性炎症の維持に重要な役割を果たす。一方、血小板はサイトカインやTNFスーパーファミリーなど免疫メディエーターを発現し、炎症誘導においても重要な役割を果たす。しかしながら、血小板とDCのクロストークによるアレルギー免疫応答調節機序の報告は殆ど無い。今回我々は新たに、トロンビン受容体刺激薬により活性化した血小板かがRANKリガンドを特異的に発現することを同定し、また、DCはTSLP刺激によって、RANKの発現が特徴的に増強されることを確認した。活性化血小板と共培養することによって、TSLP活性化DCのCD86は増強し、さらにDCから産生されるCCL17を増加させることも明らかにした。このDCの活性化は、RANKリガンドとCD40リガンドの中和抗体によって、阻害されることも確認した。したがって、血小板はRANKリガンドを発現することにより、DCによるTh2免疫応答を増強し、アレルギー性の炎症を増幅させる可能性が示唆された。この内容は"Platelets"に投稿して、アクセプトされ、現在In Pressである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
線溶系物質トロンボモジュリンの持つ抗炎症作用が重要なメカニズムと考えられているが、このトロンボモジュリンの持つ抗炎症効果を様々な免疫炎症病態に治療として用いることが出来ないか?そのために、まず本申請では「樹状細胞」と「凝固系物質の代表的物質である血小板」によるクロストークというvitroにおける実験システムを構築し、その中で血小板によって樹状細胞の活性化と炎症応答増強という新しい炎症増強機構を発見した。初年度ならびに本年度において、このステップを完了し得た。次のステップとして予定している線溶系物質(トロンボモジュリン)を用いた炎症抑制効果を解析するステップを次年度に予定している。この樹状細胞と血小板という内因性リガンドのクロストークという炎症機構を実験システムとして確立することは、今後それを基盤として線溶系物質を用いた治療コンセプト確立のために非常に重要であるため、予定より時間がかかろうとも、緻密な実験を必要とし、それは本申請においては必要であったと考える。本年までにこのシステムは完了し、次年度にトロンボモジュリンを用いた樹状細胞の炎症活性化抑制機構について、検討を始めることが可能と考えている。このシステムを用いることは、今後各種の線溶系物質や抗血小板薬などの治療効果を一律で調べることが可能となり、今後の研究の時間効率に有益と考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後の推進方策として本年度までに確立した「樹状細胞」と「凝固系物質・血小板」のvitroにおける実験システムを基盤として、線溶系物質(トロンボモジュリン)を用いて、その炎症制御能を有するものはどれか? そしてその細胞学的および分子的基盤を解明する。その具体的方法については、昨年までに確立した「血小板によるDC活性化」のvitroシステムを用いて、一律的に以下の実験を行う。 1.CpG-ODNやLPSなど、Toll様レセプター(TLR)リガンドを用いた感染に起因する外因性炎症、 2.血小板や好中球、さらにはDNAなどのalarminなど内因性リガンドによって誘導される自然炎症。この、1と2に関してのDCの活性化の修飾増強効果に対して線溶系物質(トロンボモジュリン)がどのような抑制効果を持つのか、またその作用の分子基盤をvitroの系を用いて明らかにしたい。さらに今後は、疾患モデルマウス(SIRS、敗血症、アトピー性皮膚炎、気管支喘息、SLE、クローン病様炎症性腸疾患)を用いて、これらの疾患マウスにおけるDCサブセットの機能と線溶系物質(トロンボモジュリン)を投与することによってこれら疾患の治療効果をvivoのレベルで検証し、凝固線溶反応と免疫炎症反応の相互作用の実態を明らかにする。
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次年度の研究費の使用計画 |
平成25年度分として使用する予定でしたが、研究の進行状況より、年度を跨ぐ際に、購入予定の物品が本年度分の残額で満たせなかった事から、次年度と合わせて使用する事と致しました。 前年度に引き続き、試薬などの購入に充てて参りたいと考えております。平成26年度が最終年度となりますので、平成24年度・25年度と同様に、貴重な資金として有意義な研究になる様に進めて参ります。
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