研究課題
IL-33は種々の免疫細胞と組織構成細胞に作用して、アレルギー性炎症を誘導すると考えられている。大規模ゲノムワイド関連研究およびメタ解析によって、喘息に関連する遺伝子(SNPs)が立て続けに報告されている(Nat Genet 2009;41:342, NEJM 2010;363:1211, Nat Genet 2011;43:887, Nat Genet 2011;43:893, Lancet 2011;378:1006)。これらの報告を総合すると、喘息リスクを高める遺伝因子はサイトカインであるIL-33とTSLPおよびIL-33受容体が担うと考える妥当性は高い。とりわけ、IL-33とIL-33受容体がセットで見出されていることは、喘息の病態にIL-33とIL-33受容体が重要な役割を有することを示唆している。IL-33のin vivoでの役割については、我々が世界に先駆けてIL-33欠損マウスを作成し、実際に喘息モデルでの好酸球浸潤と気道過敏性獲得に内在性のIL-33が必須である事を明らかにした(PNAS 2010;107:18581)。本研究では有力なアレルギー疾患分子標的であるIL-33についての学術的基盤形成を目指すため、リンパ組織におけるIL-33の発現制御メカニズムの探索を行う。より上流に当たるIL-33発現制御機構についての研究は、申請者の知る限りでは皆無である。IL-33発現細胞の同定やIL-33の発現制御メカニズムはアレルギー疾患分子標的を呈示できる可能性が高い。昨年度報告のように、飼育コロニーの感染事故中、PicheryらはJ Immunolgy(2012;188:3488-3495)において、IL-33遺伝子座LacZノックインレポーターマウスを作製し、IL-33の発現を報告した。これを受けて、本研究では方針変更を余儀なくされ、対策の検討を行っている。
3: やや遅れている
昨年度報告のように、マウス飼育室内での蟯虫、原虫、ノロウイルスの多重感染のために、コロニー復活に時間を要している。しかしながら、次の交配ステップによりIL-33 GFPマウスの作成I. IL-33 -/- × CAG-Cre tg/tg II. IL-33 +/-: CAG-Cre tg/+ × +/+ (wild-type)(deletionをPCRでチェック、Creトランスジーンを持たない個体の選別) III. IL-33 GFP/+ ×IL-33 GFP/+(ホモの個体をPCRで選別し、IL-33 GFP/GFPマウスとする)については、作出が終了した。
PicheryらはJ Immunolgy(2012;188:3488-3495)において、IL-33遺伝子座LacZノックインレポーターマウスを作製し、IL-33の発現を報告した。これらは、我々の意図する研究を思いの外網羅しており、これを受けて、本研究では方針変更を余儀なくされ、対策の検討を行っている。
本年度は研究計画の見直しを行ったため。見直した研究計画に沿って、適切に予算を執行する。
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Eur J Haematol.
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10.1111/ejh.12234
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10.4049/jimmunol