研究課題/領域番号 |
24591477
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
賀来 満夫 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (40224357)
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研究分担者 |
國島 広之 東北大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (60339843)
金光 敬二 福島県立医科大学, 医学部, 教授 (90277971)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 感染制御学 |
研究概要 |
本年度の研究では、鳥インフルエンザ(H5N1, H9N2)感染事例やSARSのアウトブレイク事例を過去に経験しているアジアにおける感染対策に関わる地域ネットワークの拠点である香港での研究を行った。Princess Margaret Hospital, Center for Health Protectionを訪問し、H1N1インフルエンザ感染症に対し行われた感染症対策・感染制御に関して、情報収集・情報交換を行った。空気感染を起こす疾患がパンデミックを起こした場合、香港はその人口過密状態から容易にパニックを生じ、また、その終息には想像を超えた労力と時間がかかる地域であると考えられる。しかしながら、Center for Health Protection (CHP) が主体となり、平時からの繰り返し行われるアウトブレイク対応シミュレーションおよびトレーニング、トリアージから入院までのシステム構築、各種情報の1元化および最新情報を常に各医療機関に提供するシステムの構築、また、それらをサポートできるハード面の環境整備がなされていることで、社会的混乱は最小限に抑えられると考えられた。香港が確立したシステムを本邦にそのまま導入することは、財政上の問題などで困難であるが、地域単位で情報を一元化し、平時より感染症のアウトブレイク対応トレーニングを行うことは可能であると考えられた。そのためには、関係部署と病院間のネットワーク強化が必須であり、ネットワークが強固になれば高病原性インフルエンザ感染対策を含めた対応であっても効果的な対策が可能になると考えられた。 今回の情報収集や情報交換、情報の解析を通じて、宮城県地区に院内感染を含めた感染症対策の情報を共有できる「地域感染症(危機)管理ネットワーク」のモデルを構築するにあたって、効果的かつ実際的なあり方についての有用な成果を得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究では、アジアにおける感染対策に関わる地域ネットワークの拠点の一つである香港において、SARS、鳥インフルエンザなどをの貴重な経験を含めた危機管理対応について検討することができた。
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今後の研究の推進方策 |
東北地域におけるネットワークに加えて、国内外の感染制御に関するネットワークを構築することにより、連携強化および質の向上、人材育成を図る。 本研究で得られた知見をもとに、地域を超えたネットワークの育成支援を行うとともに、相互の再評価を行うことにより、更なる感染制御ネットワークの構築を行う。 平成25年度には、課題解決を目的とした感染症危機管理対応システムの開発研究、感染症危機管理における人材育成・啓発教育プログラムの開発研究を実施する。 1. 感染症危機管理対応システムの開発研究災 害時対応を含めたITおよびウェブサイトを用いた遠隔感染危機管理対応システムの調査研究および大学と医療関連施設、社会福祉施設、地域自治体とを結ぶ情報共有化・伝達のシステム開発、支援対応システムの整備を行うとともに、運用試験を行い、課題を整理する。 2. 感染症危機管理における人材育成・啓発教育プログラムの開発研究 地域における感染症・感染制御について、医師、看護師、薬剤師、検査技師など各職種に応じた専門家のネットワークを構築し、更なる感染症危機管理専門家育成ならびに啓発教育用のプログラム・カリキュラムの開発、教育用ツールの企画・開発研究を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
次年度使用額は、今年度の研究を効率的に推進したことに伴い発生した未使用額であり、額とあわせ、平成25年度の研究遂行に使用する予定である。
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