研究課題/領域番号 |
24591478
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 福井大学 |
研究代表者 |
岩崎 博道 福井大学, 医学部附属病院, 教授 (10242588)
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研究分担者 |
高田 伸弘 福井大学, 医学部, シニアフェロー (90003409)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | リケッチア感染症 / 炎症性サイトカイン / ケモカイン / テトラサイクリン系薬剤 / キノロン系薬剤 |
研究概要 |
日本紅斑熱は1999年以降、感染症法で4類感染症に指定され、届出が義務付けられて以来急増し、年間100例以上の症例が報告されている。日本紅斑熱が発見された徳島県では、毎年報告がなされている。徳島県・阿南市において診断された12例の日本紅斑熱症例の急性期ならびに回復期の血清を用いて、炎症性サイトカイン・TNF-α、IL-12p40とケモカイン・IP-10の動態と治療経過との関連性について検討した。急性期血清中のTNF-α(5.82 pg/ml)、IL-12p40(255.1 pg/ml)およびIP-10(409.5 pg/ml)の平均値はそれぞれ回復期には、2.47 pg/ml、124.9 pg/mlおよび409.5 pg/mlに低下していた。すべての症例は、MINOおよびCPFXが治療薬として選択され、著効を示していたことより、日本紅斑熱に対してはMINOとCPFXの併用が有用であることが強く示唆された。 2012年秋期までの約1年間に、福井県内で3例のつつが虫病を経験した。血清型が全て異なっていた(Gilliam型,Shimokoshi型,Kawasaki型)。急性期にはいずれも高サイトカイン血症を呈したが、TNF-α値が21.3pg/mlと最も高値を呈したGilliam型症例が最重症であった。全例MINO投与により軽快したが、Gilliam型症例のみCPFXが併用されていた。重症化の要因には血清型の相違によるよりむしろ、サイトカイン産生をはじめとする生体側の免疫学的過剰反応や、治療開始に要した経過時間が影響する可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
日本紅斑熱をはじめとする、リケッチア感染症症例の蓄積をすすめているが、まだ十分な観察数に達しているわけではない。しかし患者発生は国内で続いていることより、可能な限り多くの症例の臨床的情報を確認する予定である。今後重症化の層別化を行い、治療法と治癒過程との関連性を明らかにしたい。
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今後の研究の推進方策 |
1.リケッチア症(日本紅斑熱、つつが虫病、他のリケッチア感染症)の症例を集積する。 2.各症例の臨床情報を解析し、重症化要因の評価を行う。 3.患者重症度、治癒過程、治療薬それぞれの関連性について評価する。 4.サイトカイン・ケモカイン産生制御の立場から、抗菌薬(テトラサイクリン系薬、キノロン系薬)の単球・マクロファージ系培養細胞を用いた実験的検討を行う。
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次年度の研究費の使用計画 |
1.消耗品(ELISA関連試薬、マルチプレックスアレイ関連試薬、ウエスタンブロット関連試薬など)購入。 2.患者感染地調査旅費。 3.研究成果発表旅費。 以上、本研究実施のために使用する。
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