研究課題/領域番号 |
24591480
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 京都府立医科大学 |
研究代表者 |
大道寺 智 京都府立医科大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (80432433)
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研究分担者 |
渡邊 洋平 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50452462)
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研究期間 (年度) |
2012-04-01 – 2015-03-31
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キーワード | 高病原性鳥インフルエンザウイルス |
研究概要 |
本研究では高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1 (H5N1-Flu) の人に対する感染のメカニズムを宿主側、ウイルス側の両面から解析していくことを主たる目的としている。具体的にはH5N1-Fluがヒトに低病原性の鳥インフルエンザウイルス (low pathogenic avian influenza virus: LPAIV) と比較してヒト呼吸器上皮細胞に高率に感染するのに必須な細胞内イベントを解析し、同時にそれに関わるウイルス遺伝子を同定することを目的としている。 数種類のヒト呼吸器上皮由来細胞株に対し、A/Crow/Kyoto/53/2004 (H5N1)およびA/Duck/Hong Kong/820/80 (H5N3)を感染させ16時間後の抗原陽性率を評価したところ、A/Crow/Kyoto/53/2004 (H5N1)は多くの細胞クローンに高い感染性を示す一方でA/Duck/Hong Kong/820/80 (H5N3)においてはその中の一部の細胞クローンにのみ感染性を示す傾向があることがわかった。この感染性の違いはH5N1-FluとLPAIVの人での病原性の違いを反映していて意義深い。現在上記以外のH5N1-FluおよびLPAIVのウイルス株を用いて検討を行っている。また一方でこれら感染性の違いを生むメカニズムを明らかにするため細胞表面にH5N1-Flu、LPAIVが結合する程度について評価を行っている。さらに蛍光標識したウイルスが細胞に侵入していく様式を現在、共焦点レーザー顕微鏡にて評価を行い、ウイルスの細胞侵入時の過程に差があるかどうかについて解析を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
交付申請書に記載した「研究の目的」はH5N1-Flu の人に対する感染のメカニズムを宿主側、ウイルス側の両面から解析していくことであり、平成24-25年度においては宿主側からそのメカニズムを解析していくこととなっている。その意味においては上記"研究実績の概要"にあるように使用したウイルス株はまだ少ないものの、H5N1-Flu、LPAIVのヒト呼吸器上皮細胞に対する感染性に違う傾向があることがわかり、またそのメカニズムについて評価するための実験条件も確立し、現在評価中であるので"おおむね順調に進展している"と言えよう。
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今後の研究の推進方策 |
現在、解析を進めている細胞表面にH5N1-Flu、LPAIVが結合する程度、および蛍光標識したウイルスの細胞侵入の様式については引き続き評価を行っていくこととする。そしてこれらの実験については使用するウイルス株をさらに増やして解析を進めていく予定である。また一方で今後はウイルスが細胞侵入後、細胞エンドソームと膜融合を起こす過程についても評価を行っていくことを計画している。
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次年度の研究費の使用計画 |
研究遂行に必要な物品費に800,000円、旅費に150,000円、人件費・謝金に100,000円 その他に350,000円を計上している。前年度の未使用分の111,1171円については主に物品費および人件費・謝金に計上している。
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